今や1人で複数枚を所有することも珍しくなくなったクレジットカード。年末年始の出費に、登場回数が増えていきそうだが、注意しなければならないのがその支払い方法だ。
ついつい予算オーバーで買い物をしてしまいカード払いにしたところ、口座から引き落とされた金額はその一部のみ。おかしいと思い調べたところ、クレジットカードの支払い方法がリボ払いとなっていたというケースが増えている。
国民生活センターには、5年前と3年前にカードで支払った車検代や買い物代金合わせて約40万円がリボ払いとなっていたため、数年たった後も毎月一定額の支払いが続き、知らず知らずのうちに手数料として数万円支払っていたという。気がついたときには手遅れに……、というトラブルが増えているようだ。リボ払い利用時の注意点を解説した上で、トラブル内容について見ていこう。
リボ払いの注意点 残高に高い手数料が課される
「リボ払い」は、クレジットカードの支払い方法の1つで、仕組みそのものは理解していなくても、名称を耳にしたことがある人は多いだろう。もともとは「revolve」=循環から派生したリボルビング払いの意味で、クレジットカードの決済額に関わらず、支払い額が毎月一定になる仕組みだ。例えば、毎月の支払金額が3万円に設定されているケースでは、10万円のバッグをクレジットカードで購入した際、口座から引き落とされるのはひと月に3万円と手数料で、残高7万円の支払いは翌月以降に繰り越される。
カード利用者の視点に立つと、大きな買い物をしても、毎月の支払が少額で済ませられることにメリットがあるように感じる。しかし、注意点が繰り越された残高には年率15%ほどの手数料が発生する点だ。この手数料の存在を知らずに、リボ払いでの買い物を続け、残高が膨れ上がり、それに対する手数料も加わり、支払い能力を圧迫してしまう。
リボ払いのトラブル「カード契約時にリボ払い設定」
手数料がかかるのであればリボ払いを選択しなかったというカード利用者も多いだろうが、なぜそのようなことが起きてしまうのか。先に紹介したケースでは、カードの利用者は会計の際、「翌月一括払い」を指定していたにも関わらず、カードを契約時に、支払い方法がリボ払いに設定されていた。
ネットショッピングの拡大などを受け、あらゆる企業がクレジットカード発行に乗り出すなか、手数料収入を見込み、リボ払いを拡大させようと、ポイント倍増キャンペーンなどと銘打って勧誘を呼び掛けるケースなどがある。
利用者は、ポイントだけに気を取られ、支払い方法の確認を見落としてしまいがちだ。クレジットカードの中には、リボ払い専用カードも存在するので注意が必要で、この場合、会計時に1回払いと伝えても自動的にリボ払いになってしまう。また、カード申し込み時に、リボ払いの申し込み項目と気づかずに、チェックをつけてしまうケースもある。クレジットカードの中には、「リボ払い」という言葉を使わずに、「あと決めプラン」など別の名称を表示し、申込者が気づかないまま、リボ払いを選択してしまう事態も発生している。契約時には小さな文字で敬遠したくなるが、会員規約もしっかりと確認したいところだ。
リボ払い希望でも残高増に伴う支払額の増加に注意
手数料を嫌がる傾向が強い日本人にとっては、リボ払いは馴染みにくい制度かもしれない。しかし、アメリカではリボ払いが一般的で、残高に手数料がかかろうが、毎月一定額のみの支払いが広く浸透している。リボ払いで買い物を続ける限り、残高は膨らむ一方だが、クレジットカード会社に借金を抱えている状態という認識がそれほどないことも、リボ払いを後押しする。
手数料をいとわないのであれば、リボ払いは毎月の支払額が決まっているため、計画的に返済できると考える利用者もいるだろう。しかし、注意しなければならないのが、リボ払いの「残高スライド方式」だ。この方式は、支払い残高が増加するにつれて、毎月の支払金額も連動して増えていく仕組み。
例えば、残高が10万円以下の場合、毎月5000円+残高に対する手数料が支払い金額となるが、10万円〜15万円では毎月7500円+手数料、15〜20万円以上では、毎月1万円+手数料、といったふうに支払い金額が徐々にアップしていく会社もある。
5000円ならば支払いに負担はないが、それが残高の状況によって倍以上に膨れ上がり、返済できないケースに発展する場合がある。また、カードの支払い情報がweb明細のみで、その確認を怠り、気づかないうちに残高が膨れ上がり、毎月の返済能力を超えた支払額まで増額され、気が付いたときには手遅れとなる事態にも陥りかねない。
クリスマス・正月と出費がかさむシーズンを前に、今一度、クレジットカードの支払い方法をチェックし、希望の返済方法に設定されているか確認したいところだ。また、紙の明細からweb明細への切り替えが広がる中、ログインをして定期的に支払い金額を確認することが、リボ払いによるトラブルを避ける近道になるだろう。(ZUU online 編集部)