住宅,住宅 非課税
(写真=Thinkstock/Getty Images)

相続税節税の手段として生前贈与を選択される方は多いが、生前贈与を行うならば関連する制度についても理解しておきたいところだ。

今回は生前贈与の中でも、特に住宅取得などを目的として資金の贈与を行った(受け取った)場合に活用することができる、「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」について解説する。どのように生前贈与を行うべきか悩んでいる方、あるいは住宅取得を検討している方などはぜひ参考にしていただきたい。


住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税とは

正式には「住宅取得等資金の贈与税の非課税」や「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」などと言い、父母や祖父母などの直系尊属から受けた贈与のうち、一定の要件を満たすものについては限度額までの金額について贈与税が非課税となる制度のことだ。以下、これを非課税の特例と呼ぶ。

この非課税の特例は、平成28年11月28付で公布・施行された税制改正案により改正されたもので、それ以前から設立されていた住宅取得等資金に関わる非課税制度の適用期間を延長し、そのほか適用される契約期間などが改められた。改正前などに、すでに同制度の適用を受けたことがある場合にはこれが認められないため注意してほしい。

非課税の特例の対象者と要件

非課税の特例の対象となる要件は、次の通り。

・贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること(※通常、配偶者の父母や祖父母や直系尊属には該当しないが、養子縁組をしている場合はこの要件を満たすことができる)

・贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上であること

・贈与を受けた年の年分の合計所得金額が2000万円以下であること

・平成21年分から平成26年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと

・自身の配偶者、親族などの特別の関係がある人から取得した住宅ではないこと

・贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の金額を住宅の新築などに充てること(※結果的に受贈者がその住宅の所有者とならない場合は、この特例の適用を受けることはできない)

・贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること

・贈与を受けた年の翌年3月15日までにその住宅に居住すること、またその後その住宅に居住することが確実であると見込まれること(※贈与を受けた年の翌年12月31日までにその住宅に居住していないときは、この特例の適用を受けることはできないため修正申告が必要となる)

非課税の特例による控除額(非課税限度額)

非課税の特例により控除される非課税限度額は、その特例の適用を受けようとする住宅新築・改築等の契約を締結した日に応じて、次の表のように区分される。

イ 下記ロ以外の場合

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
~平成27年12月31日 1500万円 1000万円
平成28年1月1日~平成32年3月31日 1200万円 700万円
平成32年4月1日~平成33年3月31日 1000万円 500万円
平成33年4月1日~平成33年12月31日 800万円 300万円

ロ 住宅用の家屋の新築等でかかる費用に含まれる消費税等の税率が10%である場合

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
平成31年4月1日~平成32年3月31日 3000万円 2500万円
平成32年4月1日~平成33年3月31日 1500万円 1000万円
平成33年4月1日~平成33年12月31日 1200万円 700万円

この表で言う「省エネ等住宅」とは、①断熱等性能等級4、もしくは一次エネルギー消費量等級4以上であること②耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上、もしくは免震建築物であること③高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること。これを証明書などによって証明された住宅を指す。

非課税の特例の適用を受けるために必要な手続き

これらの要件を満たした贈与について非課税の特例の適用を受けるためには、まず贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、非課税の特例の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書を用意する。

次に、戸籍謄本・登記事項証明書・新築や取得の契約書の写し・その他本人確認書類(個人番号カード等含む) これらの書類を申告書に添付して税務署へ提出する。

非課税の特例の適用には住宅そのものの要件も関係する

なお住宅の新築や取得に際して非課税の特例を適用されるためには、申告する住宅自体にも次のような要件が求められる。

・床面積が50平米以上240平米以下であること

・建築後使用されたことのない住宅であること

・建築後使用されたことのある住宅で、その取得の日以前20年以内(対価建築物の場合は25年以内)に建築されたものであること

・建築後使用されたことのある住宅で、地震に対する安全性基準について一定の書類により証明されたものであること

またこれらに加え、一定の要件を満たせば住宅の増改築に対しても非課税の特例の適用を受けることが可能だ。すでに住宅を新築・取得してしまったという方も、一度利用を検討してみてはいかがだろう。