奨学金を利用する場合、気になってくるのが利用終了後の返済についてだ。

毎月の返済額はいくらなのか、どれくらいの期間返済をすればいいのか...ということは利用する奨学金のタイプによっても異なってくるが、必ずチェックしておきたいポイントのひとつ。

そこで今回は、代表的な奨学金利用のタイプを参考に、そういった返済プランについて見ていくことにしよう。

奨学金とは

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(写真=PIXTA)

奨学金とは、大学・専門学校等進学の際に受給することの出来るお金だ。

まず奨学金には「給与型」「貸与型」の2つの種類が存在することを知っておこう。

給付型の場合は返済の必要がない奨学金を利用することが出来るが、貸与型の場合は借入れを行うというシステムのため、将来的に返済を行われなければならない。

奨学金においては貸与型の方が給与型より圧倒的に多く、貸与型の中でも最も代表的なものが日本学生支援機構(JASSO)の第一種・第二種奨学金であると言えるだろう。

また他にも、大学が独自に提供しているものや、地方公共団体でも奨学金を出しているところは存在する。

それぞれ条件や審査が異なっているので、自分にあったものはどれなのか、ということを選んで利用するようにしたい。

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奨学金の相場は?

奨学金の相場は進学先の学費によって異なる。

例えば国公立大学の場合、通常の年間授業料はおよそ50万円ほどだが、私立大学になると年間100万円を超える場合も多くなってくる。

また中でも医歯薬系の学部はその数倍学費がかかるとされており、家庭の負担も大きなものになってくると言ってよいだろう。

奨学金の中でも多く利用されているのが先にも挙げた日本学生支援機構の第一種・第二種奨学金だが、これを例に挙げてみていこう。

第一種奨学金(利息なし)

【国公立・自宅通学の場合】月額30,000円または45,000円

【国公立・自宅外通学の場合】月額30,000円または51,000円

【私立・自宅通学の場合】月額30,000円または54,000円

【私立・自宅外通学の場合】月額30,000円または64,000円

第二種奨学金(利息あり)

月額30,000円、50,000円、80,000円、100,000円または120,000円

利息なしの第一種奨学金における大学通学時に利用できる奨学金としては月3万円、または5~6万程度。

利息ありの第二種奨学金における同目的に利用可能な奨学金は月3万円、5万円、8万円、10万円、12万円のいずれかから選択するかたちとなっている。

短期大学・専門大学や高等専門学校の場合も殆ど四年制大学の場合と金額は変わらないが、大学院の場合は上限がやや上がる選択肢を選ぶことが可能だ。

第一種と第二種、どちらか利用したい方を利用出来る、というよりは、第一種の審査に落ちてしまった場合に第二種を選択することとなるだろう。

奨学金の毎月の返済額はどのくらい?期間は

貸与型の場合、卒業後は奨学金を返済していくこととなるが、毎月の返済額はどれくらいになるのだろうか?

日本学生支援機構を利用する場合、「奨学金貸与・返還シミュレーション」で詳しい条件を入力して返済額・期間を計算することが可能だ。

例えば第二種奨学金で4年生私立大学進学、月の貸与金額を5万円、利息を3%として計算すると、貸与総額は240万円、月返済額は16769円、返還回数は180回、15年に渡って返済を行う、という結果が表示される。

簡易シミュレーションでは利息が3%として計算されるが、これは利息を最大とした場合として計算しており、実際にはこれより低い金利で貸与を受けられるケースが多い。

奨学金の支払いを行う際に、利息に関しては「利率固定方式」「利率見直し方式」のいずれかを選択することができ、利率固定方式の場合は返済が終わるまでずっと同じ利息、利率見直し方式の場合は市場金利に基づきおよそ5年ごとに利息が見直されるようなシステムとなっている。

貸与利率に関しては日本学生支援機構のHPで公表されているので、どちらの方式を選択して支払いを行うか、ということの参考にしておきたい。

また、返済期間に関しては繰り上げを行い、前もって将来の返済金を支払うことも可能となっている。

その場合は繰り上げを行った期間の返済金については利息がつかないようになっており、その点は大きなメリットのひとつであると言える。

長い間返済を行うことが考えられる貸与型の奨学金に関しては、先に書いたシミュレーターを利用するなどしてある程度支払いの予定を立てておきたい。

奨学金で確認しておいてほしいこと

奨学金を利用する際に知っておきたいこととしては、実際にどのようなプランでそれを利用するのか、ということだ。

在学中に何に対してどれくらいの金額を利用するのか、そして卒業後の返済のめどはたっているのか...等といったことは頭に置いておきたい。

また、奨学金は「貸与型」「給付型」ともに非常に多くの種類が存在しており、中には大学入学後に成績優秀者が利用可能な給付型のものもあるので、それぞれの公式サイトなどをチェックしておくとよいだろう。

「これを知っていたらもっと真面目に勉強していたのに...」といったような、奨学金に関する後悔はしないように、前もってどんな制度があるのか、は調べておくようにしよう。

また貸与型奨学金の返済に関しては、近年その過程において支払いを行うことが出来ずに延滞が続いてしまう...といった事例も見受けられる。

それは本人の責任、と簡単に結論づけられる問題では決してなく、病気や景気によっても左右されてしまうため、社会的課題とも言えるのではないだろうか。

いくら借りるか、ということはその時の自身の経済状況に依るが、返済の計画を立てたうえで利用をすることは必ず確認しておきたい事項のうちのひとつである。

奨学金をとりまく環境を知った上での利用を心掛けよう

ここまで奨学金の返済やその期間について見てきたがいかがだっただろうか。

近年、給付型奨学金の枠を増やすなど積極的な動きも見られるものの、給付型にしても貸付型にしても奨学金を利用する、ということには責任が伴うだろう。

決してなんとなくで使うのではなく、シミュレーションやある程度の目処を立てたうえでしっかりと奨学金申請を行うようにしたい。

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