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(写真=Pushish Images/Shutterstock.com)

「不動産投資」と聞くと、どのようなイメージを持つだろうか。不動産投資は長期に渡る投資なので、物件の管理に掛かる手間や労力をまず考えてしまう方も少なくないだろう。

しかし、それらは自分自身で収益物件を所有し、資産運営をした場合である。不動産小口化投資(商品)とは、物件の管理にかかる手間や労力を抑えて不動産に投資できる方法だ。以下で詳しく解説していこう。

不動産小口化投資(商品)とは?

不動産小口化投資(商品)とは、複数の投資家が共有持分権(各共有者が持つ所有権)など不動産に関する何らかの権利を持ち、不動産へ投資する方法である。投資家から集めた小口資金を不動産のプロが投資、運営、管理を行い、得られた収益を投資家に分配する。少なくとも数千万円が必要な区分マンション購入や、場合によっては億単位の資金が必要な一棟購入とは異なり、少額資金から始めることができる。

かつてバブル期には、一口1億円で不動産の所有権を小口化した商品が販売されていた。不動産の資産価値が右肩上がりであった当時、この商品は将来の売却益と節税効果の両方を狙える商品として投資家の間で話題となった。しかしこの商品は、バブル崩壊による資産価値の急落により、多額の損失を抱えることに繋がった。これを受けて、バブル崩壊後の1995年に「不動産特定共同事業法(不特法)」が施行された。不特法は事業者の参入に制限を設け、契約時における不実告知の禁止やその他業務上の禁止事項などを明記し、投資家の保護を目的とした法律である。このことにより、現在は投資商品としての不動産小口化が成り立っている。参入事業者は資本金が最低1億円以上に限られ、事業責任を取れない業者はこの法律において市場から排除されたのである。

金融商品としての不動産小口化は、1997年以降規制緩和の波に乗り、一口当たりの最低金額は現在では撤廃され、一口数十万円という安価な商品も存在する。出資対象の物件についても、入れ替えや第三者への譲渡も可能になり、投資ハードルは下がっている。

続いて、不動産小口化投資(商品)について、その仕組みやメリットについて解説していこう。

不動産小口化の仕組み・種類

不動産小口化の仕組みを簡単に説明すると、事業者が運用にかかる資金を投資家から募り、募った資金で物件を仕入れ、運用益を出資者に配当する。

不動産小口化の仕組みは、大きく分けて以下の3種類である。

1. 匿名組合型
投資家と事業者が匿名組合契約を結び、投資家が金銭出資を行い、その出資金により事業者が不動産を取得する。事業者が不動産の所有者として、管理・運営を行い、収益を投資家に分配する。

2. 任意組合型
投資家と事業者が任意組合契約を結び、投資家が共有持分権を持つ。事業者は出資された共有持分権を組合の代表として、管理・運営を行い、収益を投資家に分配する。

3. 賃貸借型
不動産の共有持分権を事業者に賃貸(委任)し、投資家は賃料を受け取る。投資家は、共有不動産を賃貸し、運用益を持分に応じて分配してもらう。

不動産小口化、3つのメリット

続いて、不動産小口化のメリットを3つ見ていこう。

1. 節税メリット
前章で説明した「任意組合型」の不動産小口化商品は、所有権(共有持分)が投資家にあるため、相続税発生時に不動産としての評価減メリットを得られる。ただ、税制は解釈の仕方で見解が分かれる場合があるので、詳細に関しては専門家へ相談して頂きたい。

2. リスク分散できる
一口の金額が少額な商品もあることから、さまざまな不動産に投資したり、購入時期を分散させたりすることが、区分マンション購入や一棟購入に比べて容易である。

3. 維持管理に掛かる手間が少ない
現物不動産投資の場合は労力がかかる物件維持管理の問題も、匿名組合型であればすべて事業者側の仕事であるため、手間がかからない。任意組合型や賃貸借型に関しても、小口化投資家が維持管理に労力を割くケースは少ない。

以上のような不動産投資の仕組みやメリットを理解して、不動産小口化投資(商品)を投資手法の1つに加えてみてはいかがだろうか。(提供: みんなの投資online

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