一般的に、住民税という税金を耳にもしたことのない人はあまりいないと考えられるが、住民税がどのような税金なのかを熟知している人も少ないだろう。今回は住民税とは何なのか、計算方法や納税方法といった基礎的な部分について解説するので、ぜひ今後の参考として頂ければ幸いだ。特に住民税における非課税対象者や申告義務者の要件を理解しておくことは、自身がその立場になった際に申告忘れ等を防ぐ上でも重要な対策といえるだろう。

目次

  1. 住民税とは
  2. 住民税の計算方法
    1. 所得割額
    2. 均等割額
    3. 利子割額
    4. 配当割額
    5. 株式等譲渡所得割額
  3. 住民税の納税方法
    1. 所得割、均等割の納税時期と納税方法
    2. 利子割、配当割、株式等譲渡所得割の納税時期と納税方法
  4. 住民税の非課税限度額と非課税対象者
    1. 所得割、均等割、いずれも非課税となるケース
    2. 所得割のみ非課税となるケース
  5. 住民税の申告が必要な人とは

住民税とは

そもそも住民税という名の税金はなく、いくつかの地方税を総称して一般に住民税と呼んでいる。また住民税には個人に課せられる「個人住民税」と法人に課せられる「法人住民税」とがあるが、今回は特に個人住民税について焦点を当てて解説しよう。

個人住民税とは、市町村や道府県(東京都23区内は区、区外は都)が住民に対して行う行政上のあらゆるサービスにおける必要経費を、住民に分担してもらうための税金である。個人住民税は「個人都道府県民税」(税法上は道府県民税と都民税とは区分される)と「個人区市町村民税」(同じく税法上は市町村民税と区民税とは区分される)の2つからなるが、原則としてこれらの税金は市町村が一括して管理しているため、納税者の視点からはまとめて住民税と扱うことが多く、またそういった理解でおおむね問題ない。

住民税の計算方法

住民税額は主に、住民の担税力(税負担能力)に応じて課される「所得割額」と、すべての住民に均等に課される「均等割額」を合算することで求められる。そのほか、「利子割額」や「配当割額」、「株式等譲渡所得割額」なども住民税額に含まれる。

それぞれの計算方法は、次の通り。

所得割額

(前年の総所得金額等-所得控除額)×税率(10%)-税額控除額

ここでいう税率(10%)とは、都道府県民税(4%)と区市町村民税(6%)を合算したものである。

均等割額

都道府県民税額(1500円)+区市町村民税額(3500円)

通常、都道府県民税額は1000円、区市町村民税額は3000円と定められているが、復興財源確保法により平成26年から平成35年までの10年間は、復興特別税としてそれぞれ500円加算されている。

利子割額

利子所得×税率(5%)

配当割額

特定配当等の額×税率(5%)

株式等譲渡所得割額

上場株式等の譲渡による所得×税率(5%)

住民税の納税方法

住民税の納税時期や納税方法は、その住民税が何に係る税額なのかによって二分される。

所得割、均等割の納税時期と納税方法

給与所得者については、通常6月から翌年5月までの給与から毎月天引きされる形で徴収(特別徴収)されるため、別途申告等を行う必要はない。それ以外の人については、区市町村から送付される納税通知書により、年4回に分けて納める(普通徴収)。なお支払時期は区市町村によって異なるため、不明な場合は所在する区市町村役場等で確認することをおすすめする。

利子割、配当割、株式等譲渡所得割の納税時期と納税方法

利子・配当を支払う金融機関などが、支払う際に特別徴収し、その対象者が所在する都道府県へ一括して代わりにこれを納める。

住民税の非課税限度額と非課税対象者

個人住民税の所得割と均等割には、所得税などと同様にさまざまな所得控除や税額控除が各自治体によって定められている。

所得割、均等割、いずれも非課税となるケース

生活保護を受けている人、障害者・未成年者・寡婦(または寡夫)で、前年の合計所得が125万円以下(給与の場合、年収が204万4000円未満)の人、前年の合計所得が一定額以下の人が対象だ。ここでいう一定額は各自治体の条例によって異なるが、例えば東京都23区内の場合は次の算式で求められる金額が非課税限度額となる。

控除対象配偶者や扶養親族がいる場合:35万円×(本人・控除対象者の人数)+21万円

控除対象配偶者や扶養親族がいない場合:35万円

所得割のみ非課税となるケース

前年の合計所得金額が次の算式で求められる金額以下が対象。

控除対象配偶者や扶養親族がいる場合:35万円×(本人・控除対象者の人数)+32万円

控除対象配偶者や扶養親族がいない場合:35万円

住民税の申告が必要な人とは

年末調整や確定申告によって所得税が確定すると、この情報が各自治体へ通達されるため別途住民税の申告を行う必要は基本的にない。また、前述の通り所得税と「ほぼ同様」の所得控除が受けられるため、確定申告義務のない人も基本的に住民税の申告を行う必要はない。

ただし、確定申告(年末調整)における所得控除と住民税における所得控除では、一部その控除額が異なる。例えば給与所得103万円以下の人は給与所得控除(65万円)と基礎控除(38万円)によってこれが相殺されるため所得税はかからないが、一方住民税では基礎控除が33万円、非課税限度額を見ても35万円であり、給与所得ベースで見た時の非課税限度は100万円以下ということになる。

加えて、所在する市町村によっては所得割が非課税となっても均等割は非課税とならない場合があることにも注意してほしい。不安がある方は、自身が所在する自治体の役場へ問い合わせてみると良いだろう。