2016年は大きな飛躍をとげたブロックチェーン。世界中の中央銀行から大手テクノロジー企業までが、次々とブロックチェーンの可能性を模索するプロジェクトに着手するなど、新たな時代の幕開けが体感できる一年となった。
米ビットコイン取引所、コインベースによる「今年の重大ニュース」から、主要な出来事を下記にまとめてみた。
1月ーイングランド中央銀行、決済システムへの分散型台帳技術採用を検討
早い段階からブロックチェーンの可能性に着目していたBoEが、世界の中央銀行では初めて、決済システムに分散型台帳技術を取りこむ意向を示した。この動きを皮切りに欧米アジア各国の中央銀行が、一斉にブロックチェーンへの関心を表面化させた。
2月ーIBM、ブロックチェーン・ビジネス・ソリューションを提供
Linux Foundationによる分散型台帳プロジェクトに参加するなど、精力的にブロックチェーン開発に取り組んできたIBM。2月にはビジネス向けブロックチェーン・ソリューションのサービスを開始。
3月ーイーサリアム、フォロンティアの最新版「ホームステッド」を発表
イーサリアムの分散型アプリケーション・プラットフォームの第一弾であった「フォロンティア」に続く「ホームステッド(Homestead)」では、プロトコル変更、115万ブロックの移行が可能になった。今後は「メトロポリス」「セレニティ」と進化する予定である。
4月ーR3が分散型台帳プラットフォーム「コーダ(Corda)」を発表
金融機関向けに設計された分散型台帳プラットフォーム「コーダ」では、ビットコインに採用されているブロックチェーン技術のように取引全体を記録するのではなく、認証された取引のみが記録、共有される。10月にはオープンソース化された。
5月ーサトシ・ナカモトが名乗りでる?
以前から「ビットコインの生みの親」として名前が浮上していた豪起業家クレッグ・ライト氏が、英BBCなどのメディアに正式に名乗り出た。しかし真相はいまだに謎につつまれており、ライト氏の証言を真実と受けとめることに対しては、賛否両論があがっている
6月ーDAOハッキングで64億円相当のETHが流出
DAOのコードの脆弱性、そして既存のスマートコントラクトの弱点を痛感させた大型ハッキング事件で、5500万ドル(約64億1850万円)相当のETH(イーサ)が流出。仮想通貨市場を震撼させた。ビットコイン価格はその煽りをうけ、一時的に価格が764.04ドル(約8万9163円/6月19日)から602.89ドル(約7万339円/6月22日)まで急落した。
8月ーBitfinexも74億円の盗難被害
DAO事件から徐々に信用を回復していたところに、二度目の大型ハッキングが襲いかかった。香港の大手ビットコイン取引所、Bitfinexがハッキングされ、一時的に取引を停止。12万BTC(6347万ドル/約74億631万円相当)が流出し、価格は654.98ドル(約7万6416円/7月30日)から552.82ドル(約6万4497円/8月2日)まで落ちこんだ。
11月ー米国内国歳入庁(IRS)によるビットコインユーザー情報の要請
仮想通貨を悪用した脱税者を摘発する意図で、米ビットコイン取引所、コインベースに、IRSがユーザ情報の提供を要請。ビットコインを介した脱税容疑2件がコインベースの顧客であったことが発端だが、顧客のプライバシーを重視するコインベースとIRSで対立が持ちあがった。
11月ー3大銀行、R3脱退
ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、バンコ・サンタンデールがR3脱退の意向を明らかに。脱退の理由については「コーダ」採用に関する意見の衝突や、R3による多額の資金要求などが憶測として挙げられている。
12月ービットコイン取引所から一歩前進
ゴールドマン、百度(バイドゥ)などの国際大手をバックにひかえるビットコイン・スートアップ、Circleがビットコイン取引業務の廃止を発表。今後はスマートコントラクト・プラットフォーム「Spark」の提供を筆頭に、ブロックチェーンに重点を置いた商品を開発していく。
【編集部のオススメ FinTech online記事】
・
金融業界のビジネスパーソンはFinTechの進行に危機感を持たなければならない
・
最新の株価指数「FinTech指数」とは?
・
ロボアドサービスを公開したウェルスナビ「より使いやすい見た目や操作感を……」
・
CEATEC開催 MUFGが初出展、AIを活用したサービスを展示
・
「FinTech化が進む金融業界で活躍できる人材とは?」