2016年は大きな飛躍を遂げたビットコインだが、2017年の動きが気になるところだ。価格上昇が期待できる材料がそろっている反面、厳格な規制強化への動きも高まりそうで、中でも「EUによる規制強化の提言が脅威となりかねない」との見方もでている。

しかし前向きな角度から検討すると、規制枠を明確化することで、仮想通貨が払拭しきれずにいるグレーなイメージを向上させる効果も狙えるはずだ。

匿名資産から世界のデジタル資産への道のり

欧州委員会(EC)による規制強化策が表面化したのは、2016年7月。マネーロンダリングを含む金融犯罪やテロリストの資金移転対策として、仮想通貨から電子マネーまでを取り締まる提案書が作成された。

具体的には仮想通貨関連企業(取引所、ウォレット提供業者など)が規制当局の監視下に置かれるほか、取引の際の身元確認が強化されることになる。身元確認なしのプリペイカードの利用額引下さげなども提案されており、ECは2017年1月1日の導入を予定していた。
これに対し欧州銀行監督局 (EBA) は、「現在のマネーロンダリング対策の採用は仮想通貨に不適格」とし、仮想通貨に特化した規制案を提案。しかし新規制のフレームワーク構成には相当な年月を要すると予想されるため、早期対応策として可能な範囲で着手していくと同時に、時間をかけて効率的かつ効果的な規制を組みこんでいく方向性を打ちだした。

特に仮想通貨を取り扱う側にとっては、歓迎すべき動きではないことは明らかだ。ニュースBTCなどはこうした流れが最終的にビットコイン運営のコストを押しあげ、ユーザーの利益減少の要因となるなど、潜在的なマイナス効果を懸念している。確かに改革が実施されれば、BTCの懸念が現実のものとなる可能性は大いに考えられる。

しかし長期的に見ると、仮想通貨が犯罪に利用されている事実を無視することは、結果的に仮想通貨の普及を妨げることになりかねない。仮想通貨最大の魅力が匿名性であることは周知の事実だが、今後広範囲な分散を狙うのであれば、匿名性を野放しで放置していおくことは不可能になってくるだろう。

従来の通貨同様、金融市場のコンプライアンスが適用されて初めて、仮想通貨市場が本格的に始動するのではないだろうか。匿名性を優先させるか、広範囲にわたる普及を目指すか。欧州を筆頭に各地域で規制への動きが強まると予想されている2017年は、ビットコインにとって重要な一年となりそうだ。( FinTech online編集部

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