特集「財務諸表」の読み方 特集「保険」 広告特集「M&A/事業承継」 特集「本を読む。」 DC特集
ヘルスケア
Written by 藤田大介 28記事

カウンセラーが解説

「感謝」「ありがとう」が心の重荷になる理由 その知られざるリスクとは

感謝,ありがとう,ストレス,カウンセリング
(写真=PIXTA)

「感謝の気持ちを持ちましょう」「ありがとうを伝えましょう」--。こうした言葉が自己啓発本に限らず雑誌やSNSにもあふれている。誰もが意識しなくても目にしているはずだ。

ここ数年、「感謝」を勧める声が高まっている。私自身、感謝は大切な事だと思っており、こうした「感謝ブーム」を否定するつもりはない。ただ、感謝には良い面ばかりでなく、場合によっては自分自身を苦しめてしまう面があることが知られていないのは、危険だろうと思う。

「感謝」が良いとされる理由

昨今感謝が良しとされる理由は、感謝をすると幸せになれる点にある。感謝することは恵まれている側面に目を向けることであり、そのため精神的に豊かで満たされる効果が期待できる。人には何かされたらお返ししたくなる「返報性の法則」という心理が働くため、周囲からの感謝やサポートが得られ、ビジネスでもプライベートでも成功しやすくなる。こうした点が人気の理由だろうし、心理カウンセラーとしてもこれらの効果は頷けるものである。

しかし、実際には素直に感謝の気持ちを持てない、感謝が心の負担となる場合もある。負担に感じても「感謝は良いものだから」と無理して行えば、ストレスが蓄積され、やがて心の不調を引き起こす原因ともなる。では、どんなケースで心の負担となるのか。マズローの欲求5段階説で見ていくと分かりやすい。

感謝が心を苦しめる2つの理由

欲求5段階説とは、人間の欲求は下から順に、寝たい・食べたいといった「生理的欲求」、健康で安心な暮らしを望む「安全欲求」、集団に属したい「社会的欲求」、周りから認められたい「承認欲求」、自分の力を存分に発揮したい「自己実現欲求」という5層になっているという考えのことである。

このうち、生理的欲求から社会的欲求までの3つは外的に満たされたい低次の欲求と呼ばれるが、ここが満たされていることが、素直に感謝の気持ちを持つ上で重要となる。平たく言えば、ある程度食べ物に困らず、安心できる暮らしをし、仕事や仲間を持っている状態で初めて、感謝で得られるとされる、成功や心の豊かさといった目に見えない価値に魅力を感じられるのだ。想像してほしい。睡眠不足が続いていたり、家庭や職場で疎外され居場所がなかったりする状態では、喜んで感謝をする気分にはなれないだろう。

過去に負った心の傷が癒えていない人にも、感謝は負担になる。特に、親の問題は大きい。親の愛情を感じられずに育つと、「人はいいもの」という基本的信頼感が得られず、人と接すること自体が不安で、大きなストレスとなる。先に述べた通り、ある程度の安心感があって初めて素直に感謝ができるものなので、この状態では感謝は負担にしかならない。親の問題が無くても、パワハラなどで基本的信頼感が損なわれた場合も同様である。

感謝できるようになるために

感謝が負担になる人はどうすれば良いのだろうか。1つお勧めしたいのが「サードプレイス」を持つことだ。自分をそのまま受け入れてくれて、利害関係なく気軽に安心して過ごせる、家庭や仕事とは別の第3の居場所は、ストレスマネジメントとしても大変有効だ。それ以外にも2つの利点がある。

1つは、欲求5段階説における社会的欲求を満たすことが出来る点である。職場や家庭で疎外感があっても、「自分はここにいてもいいんだ」と感じられる場所があれば、集団に属すことになるし、仲間も得られるだろう。

2つ目の利点は、心の傷を癒せることだ。心を傷つけるのが人なら、癒すのも人。心の傷を癒すには、人からの優しさや愛情を充分に受けることが非常に効果的である。たくさんの優しさに触れることで、基本的信頼感が回復するのだが、サードプレイスにはこうした回復作用が期待できる。私自身、かつて人を信頼できずにいた時期があったが、この頃よく通っていた定食屋さんのマスターや常連さん達がいつも温かく話しかけてくれたおかげで、少しずつだが心が変わっていったことがある。サードプレイスは、居酒屋でも趣味のサークルでも、ホッとできればどこでも良いので是非持って欲しい。

職場で疎外感がある場合は、自分を疎外する相手を見返すため、努力するのも良い方法である。感謝などいらない。「今に見てろよ」という復讐心で構わない。法に触れず、社会のルールに則る形で自分の力を証明し、職場を自分の居場所に変えれば良い。こうした困難を切り拓くたくましさや賢さがあってこそ、感謝の気持ちが湧くのである。

自分の置かれた環境を視点を変えることで良い側面が見えてきて、素直な気持ちで感謝できるのであれば非常に良いものだ。心の重荷になることはないし、様々な利点もある。しかし自分の本音に問いかけどこか無理を感じるのなら、まずは自分の心の問題解決に力を注ぐべきだろう。

藤田大介 DF心理相談所 代表心理カウンセラー この筆者の記事一覧

【編集部のオススメ記事】
「とりあえず」で大丈夫?自分に合う生命保険の選び方とは(PR)
佐川急便、親会社が上場申請 3000億円以上の大型案件に
スキンケアが武器に!?ビジネスにおいての5つのメリット(PR)
100万円で79万円儲かる?「究極の」資産運用術とは
株初心者はどこで口座開設してる?ネット証券ランキング(PR)

「感謝」「ありがとう」が心の重荷になる理由 その知られざるリスクとは
ZUU online の最新記事を
毎日お届けします
PREV 寒い季節も要注意! 「水虫」の予防・対処法
NEXT 一度はやってみたい!? 「レーシック」の最新事情