カナダの大手駐車料金モバイル決済企業、ペイ・バイ・フォンは昨年12月28日、独フォルクスワーゲン(VW)の英国金融子会社、ファイナンシャル・サービシズ (VWFS) との買収交渉に合意したことをウェブサイト上で発表した。

FinTechが起こした金融革命が多様な分野に広がり始めた今、自動車メーカーと保険会社の提携関係もますます活発化していきそうだ。

今後注目の「InsTech」、テスラとAXAも提携

2000年、バンクーバーで設立されたペイ・バイ・フォンは、駐車場料金、公共輸送料金、EV充電スタンド料金など、車両費関連のモバイル決済を専門とするユニークなサービスで脚光を浴びている。

ウェブサイトに掲載された情報によると、昨年の登録ユーザー数は125万人、決済総額は2億5000万ドル(約294億1250万円)。1日平均7000人から利用されている大人気の決済ソリューションで、

一方VWFSはVWの金融事業部門として、1994年英国で設立。英国700件を超える販売店をとおし、約27万人の顧客に自動車保険を提供している(VEFS2013年データ)。ドイツで同様の車両費関連モバイル決済を提供しているサンヒル・テクノロジーズGmbHの株の92%を所有するなど、FinTech産業への参入にも積極的だ。

VWFSの販売・マーケティング部門のマネージメント責任者、クリスチャン・ダールヘイム氏は、ペイ・バイ・フォンの買収にあたり「VEFSを駐車料金モバイル決済の大手に押しあげる機会になる」とし、「それによって培われる知識や経験を、さらなる駐車関連産業の発展に役立てたい」とコメントしている。

英FinTech情報サイト「Finextra」の報道によると、利便性に欠ける駐車料金の支払い環境向上を目指すとともに、急成長中のモバイル決済市場への参入を目指すことが、VWFS側の買収目的のようだ。

国際大手自動車メーカーと保険会社の提携例では、昨年米テスラモータズが仏国際大手保険会社、AXA(アクサ)と共同で、香港およびオーストラリアでテスラ車専用自動車保険「InsureMyTesla 」の販売を開始し話題となった。保険にITを活用した「InsTech」という言葉も生まれ、テクノロジーが保険産業の歴史を変えようとしている。今後VWやテスラのように、大手自動車メーカーのInsTech化が進むことも十分に予想される。( FinTech online編集部

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