株式投資,長期投資,銘柄探し
(写真=Thinkstock/Getty Images)

投資にはいろいろな方法があるが、その中でも長期投資といわれる投資方法が王道のスタイルだ。

長期投資は、短期で株の売買をして利益をあげるトレードとは異なり、一度投資をしたら、原則として数年から数十年という長期で株を保有して企業を応援するスタイルを指す。1代で巨額の財を成したウォーレン・バフェット氏もこの長期投資によって成功をその手に収めていることはよく知られた話だ。この長期投資においては、何より企業の業績を見ることが重要になる。

ただ、企業業績といっては、利益には種類がいくつもある上、比較の仕方を知っておく必要がある。そこで企業の利益を4つ簡単に解説したのち、その利益を使用して企業の収益力を見るための方法を全部で3つ解説する。

企業があげる4つの利益とは

企業業績を多角的に見る場合には、以下4つに分けてみる必要がある。

  1. 売上高…企業活動によって得たすべての総合的な利益
  2. 営業利益…売上高から人件費や材料費、コストなどを引いた利益
  3. 経常利益…営業利益に企業がうける利息を足し、銀行に払う利息を引いた利益
  4. 純利益…経常利益に特別に生じた利益・損失を足し、税金を引いた最終的な利益

売上高は企業活動によって生じたすべての収益のこと。売上高がどれだけ大きくてもそこから様々なものを引いた後で、最終的に利益が残らない場合もあるため、売上高の大きさだけで判断するのは良くない。

その代りに、本業の利益(いわゆる企業の稼ぐ力)として最近では営業利益が重視されることが多くなった。のちに解説する売上高に対する営業利益の割合は重要である。

また、かつては最も重要だとみなされていた経常利益はそれほど重視されなくなってきている。IFRS会計基準の導入によって、経常利益自体を採用しない企業も出てきているくらいだ。

また純利益は、EPS(1株当たりの利益)を出す際に用いられる重要な利益である。

この4つの利益を見ることで確認することができる業績の確認の仕方を見ていこう。

四半期ごとの利益推移で業績上振れ(下振れ)企業を探す

日本の株式市場は、四半期ごとに決算が提出される。年間ベースでの予測値(通期予想という)に対して進捗がどの程度かが開示されるのだ。

この四半期ベースでの決算を見ることで成長性のある企業を探すことができる。

まずこの四半期ベースでの決算が前年に比べてどうかを確認する。好調な企業は前年に比べて利益が数十%UPしているはずだ。同時にこの開示によって、通期の予想が上振れしそうか、下振れしそうかが発表される場合がある。もし上振れした場合、通期の上方修正と呼ばれ、株価の今後の上昇が期待できることが多い。

また四半期決算の情報を確認すると、業績が大きく落ち込んだ企業を見つけることもできる。そのような企業は逆に通期の下方修正を行うことがあるので要チェックしておきたい。

こうした情報は、JPXのホームページの適時開示情報などで、決算短信として確認することが可能だ。長期投資をするのであれば目を通す癖をつけたい。

売上高営業利益率の推移で稼ぐ力のある企業を探す

営業利益を売上高で割って100を乗じる「売上高営業利益率」の毎年の推移は、企業の収益を見るうえで重要視される。この割合が高いということは効率的に稼ぐ力があるということであり、低い場合にはその逆となる。

どんなに売上高が大きくても、この割合が極端に低い場合には投資対象としての魅力度合いは大きく下がる。

例えば、売上高が100で、営業利益が60の企業と40の企業では、利益率が20%も異なる。また、利益率が高かったのに急に下がる場合には、売上はあがっているのに本業の利益が出ていないということになり、人件費や管理などコストが高まっていることを意味するので投資魅力が低下することになる。

注意点としてこの数値は外食産業であれば低い傾向にあるなど業種ごとに違いがみられる。確認する場合には、同業で複数社を比較し、利益率が高く、年間ベースで利益率が上昇している企業を探そう。

株価収益率の確認で割安な企業を探す

株価収益率はPERとも呼ばれる長期投資においては必須の株価指標である。1株の株価を1株当たりの純利益で割った値がPERとされ、単位は倍が使用される。

一般的には低いほど割安であり、10倍以下は割安面でいえば絶好の投資対象とみなされることが多い。

ただ、この数値は業種により平均値が異なるので、業種別のPER平均を確認するようにしよう。例えば、サービスや食料品はPERが高め、銀行や建設はPERが低めという傾向があるので、必ずしも10倍以下は割安であると安易に判断することは禁物である。

2016年12月末時点で銀行は10.4倍、非鉄金属は44.4倍と大きく開きがある。この数値は日本取引所グループがホームページで公開している規模別・業種別PER・PBRで確認が可能だ。毎月末のPERを業種別に確認することができる上、企業の規模別(大型・中型・小型)のPERも出ているので、大いに参考にしたい。

業績の見方・使い方をまとめると

業績の見方に関しては、売上高・営業利益・経常利益・純利益の4つをおさえておく。そのうえで投資先の企業を見極めるために、以下の指標を利用する。

1. 四半期ごとの決算の進捗確認と通期予想の修正が有無
2. 売上高営業利益率の年間推移、同業他社として比較してより数値の高いものを選定
3. 割安指標(PER)が業種別平均値より低いものを選定する

企業の成長力・安定性・収益性を3つの視点で見ることでとらえることができるだろう。参考にしていただけると幸いである。

谷山歩(たにやま あゆみ)
早稲田大学を卒業後、証券会社において証券ディーリング業務を経験。ヤフーファイナンスの「投資の達人」においてコラムニストとしても活動。2015年には年間で「ベストパフォーマー賞」「勝率賞」において同時受賞。個人ブログ「 インカムライフ.com 」を運営。著書に『 元証券ディーラーたにやんの超・優待投資 草食編 Kindle版 』(インカムライフ出版)がある。

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