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原作『嫌われる勇気』(岸見一郎、古賀史健、ダイヤモンド社)

きょう1月12日(木)からフジテレビ系でドラマ「嫌われる勇気」(毎週木曜午後10時~)がスタートする。

公式サイトによると、アドラー心理学を体現する女刑事を香里奈さんが、女刑事とコンビを組む優柔不断な刑事をアイドルグループNEWSの加藤シゲアキさんが演じる刑事ドラマのようだが、原案は大ベストセラーとなっている自己啓発本『嫌われる勇気』(岸見一郎、古賀史健共著、ダイヤモンド社)。アドラー心理学の教えを、小難しく理論を並べるのではなく、哲学者と悩み多き青年との対話形式で分かりやすく説明している一冊だ。

私は、心理カウンセラーとして特別アドラーに傾倒している訳ではないが、アドラー心理学は面白く、また実用的な理論だと思う。今回は、「勇気の心理学」と呼ばれるその思想の魅力と、他の心理学との違いについて紹介したい。

アドラー心理学の特徴

アドラー心理学は、20世紀初め頃、オーストリア出身の心理学者アルフレッド・アドラーが唱えた思想を指し、その後の心理学はもちろん、世界的名著『人を動かす』のデール・カーネギーや『7つの習慣』のスティーブン・R・コヴィーといった自己啓発の大家にも影響を与えたと言われている。

その思想の大きな特徴は、「目的論」にある。目的論とは、あらゆる行動には何かしらの目的があるという、有名な心理学者であるフロイトなどの「原因論」の真逆の考え方だ。最近、2017年は、年間16日ある国民の祝日のうち4日が土曜日と重なり休みが減るため、「今年は頑張れない」といった嘆きの声が聞かれることが話題となったが、これを原因論と目的論で例えてみよう。

まず原因論で考えると、「休みの少ないこの先1年を考えただけで気が滅入ったから、仕事を頑張る気力も失せた」となる。やる気が無くなったのはつまらない仕事や嫌な上司、居心地の悪い職場環境等であり、自分は悪くない。これまでストレスで心が傷ついてきたのに、今年は例年以上に嫌な思いをするのだから、やる気が無くなるのは当然、という見方だ。

一方、目的論ではまず、「働きたくない」「周りから同情されたい」といった目的がある。それを叶える為に、「休日が減るのは辛い」という口実を用意したといったと考え、働くことで直面するだろう、自分の能力不足の露呈や嫌な上司との密なコミュニケーションなどの回避したい課題に目を向けることになる。

言い換えれば、「あなたは、幸せになるためにこれらの課題克服に取り組むくらいなら、多少不幸せでも変わらないでいた方が楽と考えている」と捉えるのだ。アドラー心理学がしばしば「厳しい」と言われるのは、こういった側面故だろう。

「勇気の心理学」と言われる理由