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(写真=Watchara Ritjan/Shutterstock.com)

代表的な福利厚生の一つである住宅手当ですが、その支給基準や法律的な最低基準などで頭を抱える経営者も多いのではないでしょうか。

今回は、住宅手当に関する法律関連と支給条件の決定方法で、基本的な対応をご紹介します。

法律的にはかなり曖昧な住宅手当

住宅手当について考える際に、まずは押さえるべき法律関係ですが、意外にも住宅手当に関して最低基準等は特にありません。

これは、そもそも住宅手当(家賃補助)というのは福利厚生の一環で、法律的に強制する必要があるものではないという考え方が背景にあります。また住宅手当に関しては税金の優遇措置もなく、給与所得と同じように課税対象となっているため、細かいルールは存在しません。

つまり住宅手当の額や条件は法人が好きに決めてよいという、もっとも簡単でありながら経営者にとって悩ましい事態になっているのが、住宅手当の現状なのです。

社内規定にて定めるべき住宅手当の支給条件

法人ごとに自由に定めてよいとされる住宅手当ですが、もちろん度々変えていいわけではありません。社内規定で定義することで経理上の、あるいは従業員の混乱を防ぎ、公平な支給をすることができます。具体的には以下を定めるようにしましょう。

まず、住宅手当の支給額を定めましょう。厚生労働省の「平成27年就労条件総合調査」によると、住宅手当の平均支給額は月に1万7,000円程度となっています。支給そのものがない会社もあれば、5万円や10万円といった企業もあり、前述したように住宅手当に対する自由度の高さが窺えます。

企業にとっては、経費となるため額を低くしたいところですが、福利厚生の恩恵を受ける従業員は、少しでも多くもらいたいと思うのが当然です。よりよい人材を集めるための待遇であることを考慮しながら額を決定しましょう。

住居の事情や環境により支給条件を設ける場合には、その区分を定める必要があります。例えば「家賃5万円以上かつ会社から15分圏内の物件住居者に支給」、「持ち家でローンを組んでおり、月々10万円以上支払っている従業員に支給」などです。

支給をするかしないかだけでなく、「家賃またはローンが毎月いくらまでならば2万円支給、それ以上は3万円支給」といったように、従業員の月々の支払い額に応じて住宅手当の額を変化させる方法もあります。

そして、誰に支給されるのか、もしくは誰が支給の対象外となるのかを明確にします。特に住宅手当の額が一律の場合には、全員に支給するのか役職や共働きの有無などによって線引きがなされるのかを定めましょう。一般的には世帯年収や子ども(扶養家族)の有無などで区切ることが多いようです。

支給条件を決める際の注意点やポイント

住宅手当の支給条件を決める際には、従業員に公平であることが重要です。条件によっては従業員の反発にあう場合もあります。例えば役職で制限した場合、給与体系と見合わなければ「昇進したのに住宅手当がカットされて損をした」という不満が出てしまいかねません。制限を設定する際には細心の注意が必要です。

また、「家賃またはローンの額に関係なく半額支給」といった条件にすると、家賃やローンが高い住宅に住む従業員が多い場合は、経費がかさんでしまうことになります。

法人が自由に設定してよいという住宅手当の性格上、支給条件にこれといった正解がないのが現状です。厚生労働省が公開している就労条件総合調査などを基に、同規模の他社の支給状況と比較しながら設定するのも一つの方法です。社員は少しでも条件がいい企業を選ぼうとするため、福利厚生を充実させることで人材を集め、また従業員の離職を防ぐという効果もあります。

住宅手当を企業の魅力に

法律上のルールがなく、経営者の采配に委ねられるのが住宅手当です。支給額や条件など決定が難しい部分もありますが、うまく活用し企業の魅力を高めるチャンスでもあります。

従業員が気持ちよく働けるよう、財務的な余裕と相談しながら社内規定を定めるようにしましょう。(提供: フクリ!

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