メール処理,効率化,ノウハウ
(写真=The 21 online)

「ついついやりがちなムダ」を排除!

気がついたら、メール処理で1日の半分が過ぎていた……。思わぬ時間の浪費を生むメールのやりとり。その現状を改善すべく、ビジネスメールの達人・平野友朗氏にメール効率化のノウハウをうかがった。

メール処理は、「読む回数」と「書く時間」を減らせ!

あなたはメール処理に1日何時間かけていますか。メールは本来、意思疎通をスムーズにするためのツール。かえって多くの時間を奪われているとすれば、まさに本末転倒です。

では、どうすれば、効率的に大量のメールを処理することができるのでしょうか。ポイントは、「読む回数」と「書く時間」を減らすことにあります。

以下、メール処理のムダの改善策をご紹介いたします。

メールの無駄1 いちいちメールを確認してしまう

仕事中、無意識にメールフォルダを開くクセがついていませんか。そのたびに業務が中断され、集中力が削がれます。無意識のメールチェックは、業務の効率を著しく下げる要因です。解決策は、「1時間に1回」などとルールを決めて、意識的にコントロールすることです。

一流のビジネスマンの条件に「即レス」が求められる昨今ですが、相手がメールを送信して2時間以内ならば、返事が遅い印象を与えません。メールに逐一返事をすることで結果的に仕事が遅くなれば、むしろ悪い印象を与えることになります。

一度思い切って、PCのメール画面をオフにしてみましょう。

メールの無駄2 情報共有のメールが多すぎる

メールを読む時間を短縮するためには、そもそも受信メールを減らすという手もあります。受信メールが増える元凶の1つが、CC などの共有メール。実は見ていないという人も多く、大量のメールに埋もれて重要な情報が伝わっていないことも。

解決策は、共有すべきメールを結論や成果のみに留めること。共有メールの多くは、仕事の経過報告です。共有メールは、チャットのように使うのではなく、確定した事項のみを送るように社内やチームでルールを徹底するといいでしょう。

メールの無駄3 メールの仕分けが目的になっている

受信したメールを細かくフォルダに分けている人がいますが、一般的に「仕分けるほど効率が悪くなる」傾向にあります。フォルダを開く手間が増えるうえに、フォルダが増えるほど見落としのリスクが高まるからです。

仕分けはシンプルに「読まないメールだけ別フォルダに移動」がベスト。たとえば、メルマガなどの「すぐには読まないメール」や、定期報告など「返信不要のメール」を「別フォルダ」に分類します。

一方、処理が必要な仕事のメールはすべて「受信トレイ」にまとめます。ここに届いたメールは、優先順位をつけず、着いた順に処理していきましょう。

メールの無駄4 メールのやりとりが終わらない

メールの応酬が続き、やりとりが完結しない──それは、あなたのメールの文章がわかりにくく、相手にきちんと伝わっていないからかもしれません。

ビジネスメールの最大のコツは「一度読みで頭に入る」こと。最後まで読み進めないと結論や目的、送信者がわからない文章は相手にとって大きなストレスですし、結果、趣旨が理解できずにメールを何度も繰り返すことになるのです。

メールの無駄5 文章を書くのに時間がかかる

メールを書いているうちに思わぬ時間が経ってしまっていることはよくあるもの。本来、1通にかける時間は平均3分、少なくとも5分以内に収めるべき。

3分以内にメールを書くには、自分がよく書くビジネスメールの定型文を作っておくと、いちいち文面を考える手間も省け、書くスピードもアップします。

さらに、よく使う単語やフレーズは「単語登録」しておくといいでしょう。上図を参考に、スキマ時間に単語をコツコツと登録していってください。

平野友朗(ひらのともあき)日本ビジネスメール協会代表理事
1974年、北海道生まれ。筑波大学人間学類(認知心理学専攻)卒業後、広告代理店勤務を経て、㈱アイ・コミュニケーション設立。日本初のビジネスメール教育事業を立ち上げ、個人への指導をはじめ、官公庁、企業、学校、団体などへのコンサルティングや研修を行なう。2013年、一般財団法人日本ビジネスメール協会を設立。著書に、『誰も教えてくれなかったビジネスメールの書き方・送り方』(あさ出版)、『カリスマ講師に学ぶ! 実践ビジネスメール教室』(日経BP社)など多数。(取材・構成:麻生泰子)(『 The 21 online 』2016年12月号より)

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