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(写真=Wolfilser/Shutterstock.com)

住宅手当(家賃補助)の代わりとして、見直されつつあるのが社宅制度です。今回は「借り上げ型社宅」と「社有社員寮」の違いと、社員寮における規則のあり方について解説します。

借り上げ型社宅と社有社員寮の違い

企業が用意した住居を社員が利用する社宅として、大きく分けて「借り上げ型社宅」と「社有社員寮」があります。

借り上げ型社宅とは、一定の予算内で企業または社員が選んだ賃貸物件を法人が借り上げ、その物件に社員が住む方式です。社員は家賃の一部を法人に支払うことで非課税になり、また法人側としても社有社宅のような「箱物」を用意する必要がなく、管理の手間を省けるというメリットがあります。一方で、契約や賃料などが発生する手間も存在します。

また、別の利用方法として社有社員寮があります。これは、法人が保有している建物に社員を住まわせる方式です。部屋探しや賃料、煩雑な事務手続きが不要で入退去しやすく、社員同士のコミュニケーションを取りやすい反面、設備や資産の管理が必要となります。またプライバシーを重視する若者などからは、敬遠されることもあります。

社員寮における規則

社員寮という法人が保有している物件に住み、場合によっては複数の他人と一緒に暮らす以上、ある程度のルール設定は必要です。賃料や退去時の修繕費用といった費用面以外に、入寮者全員が気持ちよく過ごすための規則を用意しましょう。

例えば、管理人を置くのかどうか、常駐してもらうなら時間帯はどうするのかを明確にしましょう。その上で、管理人が行う業務や役割についても明示します。

社員寮に食堂がある場合には食事を提供する時間帯やルールについて記載します。不要な場合は前もって連絡をする、配膳や片付けは当番制なのか各自行うのかなども決めておきましょう。食事代は補助とするのか、入寮者の負担なのかも規則に記します。

門限がある場合にはその時間帯を記して、事情により門限を過ぎる場合の連絡方法や、門限後に外出をする場合の申請方法なども決めておきましょう。また、それに合わせて部外者の立ち入りについて決めることもオススメです。家族や友人など、入寮者以外の立ち入りについて、ロビーでのみ面会してよい、先に許可を取ることで宿泊させることが可能、など線引きをしておくことで混乱やトラブルを防げます。

社員寮に清掃業者が入らない場合、掃除は当番制なのか各自で行うのかを決めておきましょう。当番制で共用部の掃除を行う場合、曜日や時間帯を定めておくとスムーズです。設備に応じて、トイレ・浴室や廊下、食堂などの共用部分の使用ルールについての項目です。使用時間帯に制限を設けている場合は明記して、入寮者が適切かつ衛生的に使用するよう促しましょう。

個室内でのルールも決めることが必要です。例えば、火災リスクを考えると喫煙は定められた場所のみ可能として火気の使用は禁止するなどです。

規則違反者への対応

入寮時には規則を提示した上で、入寮誓約書にサインをもらうようにします。規則の違反があった場合は注意や勧告となりますが、あまりに違反が多い場合や改善が見られない場合、他の入寮者や管理人から見て生活態度・生活状況などが悪い場合には、退寮を命じることもできます。

ただし、すぐに退去させることは難しいため、退職時や退寮を勧告されたときなどの注意事項についてまとめておく必要があります。退職後〇日以内に退寮しなくてはならない、退寮届を提出する、などです。退寮の際には使用した個室を原状回復する旨なども記載しておくといいでしょう。

これらの点に関しても、規則に明記しておくことでトラブルを回避できます。

必要規則で、メリハリをつけた管理を

借り上げ社宅や通常の一人暮らしにはない、温かみがあるのが魅力の社員寮。せっかく一緒に働いている者同士が一つ屋根の下で暮らすので、あまり厳しいルールで縛って、居心地が悪くなるようなことは避けたいものです。

必要な規則のみを定め、メリハリをつけた管理を行うようにしましょう。(提供: フクリ!

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