中国アリババグループ(阿里巴巴集団)の金融子会社、アント・ファイナンシャルのエリック・ジンCEOは1月19日、Alipayへのブロックチェーン導入などで本格的な国際進出を果たし、今後10年以内に顧客数20億人達成の野望をいだいていることを、米CNBCの取材で明かした。
本国の決済市場におけるオンラインシェアは50%、モバイルシェアは80%と圧倒的な独占力を誇るAlipayが、国際FinTech市場に旋風を巻き起こしそうだ。
ブロックチェーンやAIを取りいれた金融サービスを検討中
中国全土で4億5000万人に利用されている巨大決済サービス、Alipay。CCNBCの報道によると昨年の企業価値評価は600億ドル(約6兆8688億円)。今年中の上場が秒読みにはいったと、かねてから報じられている。
Alipayがさらに大規模な国際市場を視野にいれていることは、昨年4月に発表された欧米進出計画からも推測できた。今年のダボス会議(1月17日から25日開催)に参加したジンCEOはCNBCの取材に応じた際、「今後10年以内に顧客数を20億年に増やす」と国際進出の野望について語った。
ジンCEOはブロックチェーンやAI(人工知能)技術に期待されているコスト削減や安全性および効率性向上といった利点を挙げ、Alipayへの採用を検討していると認めた。アントはAlipay以外にも様々な金融サービスを提供しており、今後マイクロファイナンスを含むこれらのサービスにもこうした最新技術が取りいれる可能性が考えられる。
アリババのブロックチェーン・プロジェクトの第一段として、アントは昨年8月、すでに自社の慈善寄付サービス「Ant Love」にブロックチェーンを採用している。募金を分散型台帳に記録することで、募金の取引経路や用途を募金者とオンライン共有するという試みだ。これにより募金の流れの透明性を高めること可能になった。
11月から本格的に進出した欧米市場では、独金融テクノロジー会社、ワイヤーカード(Wirecard)と提携し、バーコード決済を利用したアプリでAlipay拡大を狙うなど、実に活発的な動きを見せている。
アントのブロックチェーン導入が本国は勿論、世界決済市場におよぼす影響は、予想をはるかに上回るものとなるだろう。( FinTech online編集部 )
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