Twitter
(写真=chombosan/Shutterstock.com)

若者の間ではすっかり定着した感のあるコミュニケーション・サービスTwitter。このサービスを運営するTwitter社が赤字続きとなっており、このままでは企業としての存続も危ぶまれるほどだという。

なぜこのような事態に陥ったのか。その背景と理由、今後の対策方法を探っていく。

実は赤字続きのTwitter

Twitter社は、ここ最近の業績が振るわない。2016年1〜3月期の決算では、純損益7,970万ドル(約89億円)の赤字だ。2015年同期の赤字1億6,240万ドル比べれば36%の回復だが、黒字には程遠い。

Twitterは、世界的に有名なインターネットを活用したコミュニケーション・サービスだ。月間アクティブユーザー数は世界で3億人以上、日本でも3,500万人前後に達している。災害時の情報共有などに活用されたり、芸能人・著名人のツイートがたびたび話題となったりするなど、今なおTwitterは多くの人に利用されている。

しかし、これらの数字も損益を埋めるほどではなく、長い間赤字から抜け出すことができない。しかもTwitter社は2013年11月に株式を上場して以来、実は一度も黒字になったことがない。このまま赤字を続けていけば、事業の存続さえ危ない。なぜTwitterは、これほどまでに苦戦を続けているのか。

黒字になれない構造的な欠陥

業績不振によりCEOが引責辞任し創業者がCEOに返り咲くなどのお家騒動や、インチキ身売り報道に巻き込まれるなど、内外のゴタゴタが順調な成長を鈍らせたという側面はたしかにある。しかし業績不調の最大の理由は、Twitterが構造的に抱える問題に潜んでいる。その点を確認してみよう。

1. 売り上げの90%が広告収入

Twitter社の売り上げの約9割は、広告料収入による。しかしTwitterを利用してみるとわかるが、広告が表示されることは多くない。これは「ユーザーの利便性を最重要視する」というTwitter社のポリシーによるもの。広告が頻繁に表示されないため利用者にとっては便利だし使い勝手はいいが、これでは収益を維持するのは難しい。

2. 膨大な研究開発費

Twitter社の研究開発費は、年間売り上げの50%に相当するといわれている。研究開発重視の姿勢は非難されるべきではないが、あくまで収益性との兼ね合いだ。

3. 高額なストックオプション

社員に対するストックオプションも高額だ。そうでなければ優秀な社員を引き留められないという事情は推察できるが、これも程度問題だろう。

4. サービス内容の問題点

サービス内容に関しても、いくつか問題がある。

・ 文字数制限
Twitterで一回に送れる文字量は140文字以内という制限がある。だからこそ“つぶやき”と呼ばれるわけだが、140文字では複雑な情報は送れない。最近はこの文字数制限も緩和の方向にあるが、長文になると逆に読む方が辛くなるなどのマイナス面も生じてくる。

・ テキスト偏重
Twitterはあくまで文字情報をやり取りするサービスだ。しかしインターネットの進化に伴い、近年ではInstagramなど画像を中心としたコミュニケーション・メディアもある。テキスト偏重のTwitterは、それら新興サービスに比較して見劣りしてしまい、新規ユーザーの獲得には繋がりにくい。

急がれるスマートフォン対応

若者を中心に、まだまだTwitterの人気は高い。これらコアのユーザー層からの固い支持を基盤に、新しい収益源を開拓することがツイッター社の今後の課題だろう。

そのための一つの方策が、有料化だ。有料化するとユーザー離れが懸念されるが、基本サービスは無料、有料サービスに文字制限の撤廃など魅力的なオプションを用意できれば、収益に資することが十分期待できる。

もう一つが、他のコミュニケーション・サービスの付加だ。一時期低迷したmixiが有償のゲームサービスで息を吹き返したように、誰もが納得できる有償コンテンツを提供できれば、新たな収入源として浮上できるはずだ。

そして最大の課題が、スマートフォン時代におけるコミュニケーション・スタイルへの対応だろう。Twitterがサービスを開始した10年ほど前はプログの全盛期であり、ネット上の情報はあくまでPCを前提とした1:nが主流だった。しかしスマートフォン時代では、LINEの興隆に見られるように、コミュニケーション・スタイルは親しい者同士の1:1が主流になりつつある。しかもテキストは傍流で、むしろ写真や動画でのやり取りがメインだ。

Twitterがこうした時代に対応して、どのような画期的で楽しく使いやすいサービスを提供できるか、それが今後のTwitter社復活の鍵となるのではないか。そして魅力的なサービスを提供できれば、広告主も自然と増え、業績の黒字転換も決して夢ではないだろう。(提供: 百計オンライン

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