Drone
(写真=Es sarawuth/Shutterstock.com)

世界最大のショッピングサイトAmazonは、現在も次々と新サービスを発表している。その例の一つが、東京、神奈川(一部)で始まっている24時間配送サービス「Prime Now」だ。さらにドローンを使った配達システムや、物流倉庫内での作業を簡素化するロボットなど、新技術の導入にも積極的だ。

利用者から見れば便利だし歓迎したいサービスだが、その裏には過酷な労働環境があるとも指摘されている。Amazonのサービスはどこに向かうのか、懸念材料などはないのか、現状を追ってみた。

24時間配送サービス「Prime Now」をスタート

インターネットでさまざまな商品を購入できるショッピングサイト『アマゾンジャパン』が、東京と神奈川の一部で、24時間配送サービス「Prime Now」をスタートさせている。注文された商品を最速1時間で指定した場所へ届けるサービスで、ジャンルも食料品、日用品、本、文房具、家電、ペット用品、ゲーム用品、スポーツ用品など幅広い。コピー用紙やインクなどの事務用品が急に切れたとか、深夜にペットの餌がないことに気がついたなど、急を要する時に便利なサービスだ。

ただし24時間対応可能ということは、物流倉庫で働いているスタッフやオペレーターは当然24時間体制である。それは配送を請け負っている運送業者も同様だ。働く者の環境としては、過酷であるという印象は否めない。

ドローンによる高効率配達は打ち上げ花火?

米国のAmazonは、最新技術を活用した新しいサービスの開発に熱心だ。小型無人機(ドローン)を使った配送サービス「Prime Air」計画はその一例である。専用のドローンを開発し、重さ5ポンド(約2.27キログラム)までの荷物なら30分以内に家の玄関先や裏庭に届けるという計画で、すでにアメリカ本国では実証実験が進められている。また日本でも国家戦略特区に指定された千葉市中央区で導入検討を進めており、最後の詰めを日本政府と交渉中だ。

ただし米国でも、「Prime Air」の実現は一筋縄ではいかないようだ。アメリカ連邦航空局(FAA)が新たに発表した規制では、「ドローンは操縦時に必ず操縦者が、航空機や送電線、さらに地上にいる人間や物と衝突するのを防ぐために離陸から着陸に至るすべての飛行経路を肉眼で確認できなければならない」と定めている。

こうした課題は、今後の衝突回避するシステムやGPS、遠隔操作技術によって克服可能になると考えられるが、それだけでFAAとの交渉がスムーズに進むとは限らない。さらに現状の仕様では、このドローンには32分以上の飛行は不可能ではないかと指摘されている。これでは片道15分程度の場所しか届けられないため実用性に疑問が残るうえ、途中でバッテリー切れになって墜落したときの安全性の問題もある。

配送業者の負担軽減と、サービスの向上を実現するものとして華々しく打ち上げられている「Prime Air」計画だが、実現にはまだまだ紆余曲折がありそうだ。

新技術ARは道険し?

Amazon配送センターでの労働の大半はパート、アルバイトで占められており、その労働は過酷そのもの、というイメージが拡散しているともいわれている。ジャーナリストが身分を隠して潜入取材をし、その実態を記事にしたことで、Amazon CEOのジェフ・ベゾス氏が猛烈に反論するということが起きており、物議を醸しているようだ。

こうした否定的な世論に答えるかのように、最近Amazonは物流倉庫内での棚入れ棚だし作業を大幅に効率化する「Amazon Robotics(アマゾン ロボティクス:AR)」の導入を発表した。このARが試験導入された「Amazon 川崎 FC(フルフィルメントセンター)」にはマスメディアも多数招待され、テレビニュースなどでも盛んに放映された。

しかし今回のお披露目は、日本だけでも全部で13ヵ所あるAmazon配送センターの一つで、わずか1週間ほど実証実験が行われたに過ぎない。ドローンにしてもロボットにしても、最新技術に挑戦するAmazonの姿勢は評価したいが、本当にスタッフや関連業者の負担軽減、利用者の利便性向上に結びつくかどうかは、まだまだ道が険しいといえるだろう。 (提供: 百計オンライン

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