住宅ローン,銀行
(左から)インベスターズクラウド森山氏、MFS中山田社長、ネクスト伊東執行役員(写真=筆者)

人生最大の買い物――住宅。ほとんどの人がローンで購入しているはずだが、「今借りている住宅ローンがベストな条件なのか」「金利タイプはどれを選べばよいのか」「繰り上げ返済をした方がいいのか」「借り換えをしたら得をするのか」など、住宅ローンについての疑問は尽きない。

1月25日、東京・日本橋でフィンテックベンチャーのMFS(東京都新宿区、代表取締役CEO・中山田明氏)が住宅ローンについての新サービスを開始すると記者発表会を開いた。会見には今回、同社と提携するネクストと、インベスターズクラウドの役員も同席した。(経済ジャーナリスト・丸山隆平)

住宅ローンの専門家集団――MFS

MFSは「フィンテックを活用した住宅ローンコンサルティングサービスを提供する」企業。2014年の設立。中山田CEOは日本初の住宅ローン証券化を担当、塩澤崇取締役COOも外資系証券で住宅ローン証券化を担当するなど、住宅ローンの専門家を社員に集めている。

スタート間もない同社の企業基盤を築いたのが15年8月にリリースしたスマホアプリ「MOGE CHECK」。ユーザー数2万人を突破、また16年4月にスタートしたコンサルティング拠点「MOGE CHECK PLAZA」は250件、50億円の契約を獲得している。

信用力に応じた金利を提示

今回、発表した新サービス「MOGE SCORE(モゲスコア)」は、金融機関に申し込む前に住宅ローン借入条件が想定できる個人の信用力を客観的に図る基準(クレジットスコア)。

一般的に住宅を購入する際、物件を選んだ後に住宅ローンを申込み、金融機関から審査を受けて借り入れる。だが、このやり方は「住宅ローンでいくら借りることができるのか分からないため、物件購入の予算が立てづらい」「金融機関がどのようにローン審査額を決めているのか分からないので、良い条件で住宅ローンを借りる対応策が分からない」など消費者にとっての問題があった。

「モゲスコア」は消費者の収入状況とその安定性を判断する年収、勤続年数、家族構成などの10項目から信用力を判断し、スコアを算出。同時に信用力に応じた摘用金利の目安も提示する。ちなみに「モゲスコア」×「年収」÷100=住宅ローン借入可能額となるという。

消費者はスマホやPCで自身の「モゲスコア」を取得することで、金融機関に申し込む前に住宅ローンの借入条件が想定でき、より正確な予算づくりができる。また年収や勤続年数などの入力内容を変更することで、住宅ローン借入のシミュレーションも行えるという。

HOME'S、インベスタークラウドと提携

今回の発表会ではMFSは、総掲載物件数No.1の不動産・住宅情報サイト「HOME'S」を運営するネクスト(井上高志社長)と業務提携。API連携により「HOME'S」のユーザーは3月から「モゲスコア」を取得できるようになることも発表された。会見には、インベスターズクラウド執行役員の森山正隆氏、ネクスト執行役員の伊東 裕司氏が出席した。

年間着工数3年連続でトップという不動産に特化したプラットフォームの開発・運用、クラウドサービスの提供、デザインアパートメントの企画、運用を行なうインベスターズクラウド(古木大咲社長)とも提携、リノベーション物件選びと住宅ローン選定の両方ができるワンストップサービスを3月から開始することが発表された。

MFSによると住宅ローンの市場規模は186兆円、1200万件。新規の実行だけでも20兆円、100万件という大市場だが、ユーザーの立場で最適なローンを推奨するサービスが存在していないという。

MFSでは今回の一連の方策により、これまで住宅ローンの紹介で250件50億円の実績を「1000件、200億円程度まで拡大させたい」としている。( FinTech online編集部

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