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(写真=Leonid Eremeychuk/Shutterstock.com)

あまり知られてはいませんが、銀行では主として預かり資産1,000万円以上の顧客に対して会員制のプレミアムサービスを設けています。

各種手数料の優遇や特別金利はもちろん、各行の得意分野を活かしたさまざまな特典があります。ただし、最近は見直しの機運も高まっているようです。最新の動向をチェックしてみましょう。

サービスメニューの厚さを誇る信託銀行

富裕層の顧客が多い信託銀行は、会員制サービスの内容も充実しています。

SMBC信託銀行の「プレスティアゴールド」は、月間平均総取引残高が1,000万円相当額以上で、外貨建て商品などの資産運用を考えている方が対象となっています。「外貨」と明言している通り、外貨から外貨へのクロスカレンシー取引手数料の割引や、専任の外国為替担当スタッフのサポートがあるなど手厚い内容です。

またクレジットカード希望者にはプラチナカードが発行され、世界中の空港ラウンジが使用できるプライオリティ・パスの最上位サービスが適用されるほか、カード付帯のハイレベルなサービスが受けられます。

三菱UFJ信託銀行の「エクセレント倶楽部」は、世帯合計での取引残高が1,000万円以上、または住宅ローンの取引があることが条件となっています。取引内容はポイント化され、ゴールド・ダイヤモンド・ロイヤルの3つのステージに分けられます。名医の紹介や会員制健康クラブ入会料金の割引などヘルスケア関連サービスのほか、不動産仲介手数料の割引、建物本体価格の割引など不動産面のサービスが魅力です。

上記2社が、サービスを受けるために自ら問い合わせる必要があるのに対して、三井住友信託銀行の「トラストプレミアムサービス」は申し込みが不要です。取引状況に応じてシルバー・ゴールド・プラチナの3ステージでサービスを展開しています。グループ会社に商船三井客船があるため、クルーズなどの料金が割引になる「船割サービス」があるのがユニークです。

都市銀行はみずほ銀行の一択に

みずほ銀行の「みずほプレミアムクラブ」は招待制となっています。資産残高以外にもいくつか条件があるようですが、詳細は明らかになっていません。弁護士や税理士などの紹介や、宿泊施設の予約代行など、クレジットカードの上級会員向けと同等のサービスが受けられるようです。特に日経ビジネスの記事を創刊号から閲覧・検索できる「日経ビジネスライブラリー」は会員から高評価です。上位サービスには「プレミアムクラブBRILLIANT」もあり、さらにハイレベルなサービスが提供されています。

一方で、りそな銀行は「りそなクラブ」と称して会員資格に制限を設けず、広くポイント制を展開しています。また、三井住友銀行が預金残高500万円以上、かつ50歳以上の方を対象に展開していた「SMBCクラブ50s」は2016年4月末でサービスを終了し、三菱東京UFJ銀行の「クオリティ・ライフ・クラブ」も2017年3月末で終了するなど、都市銀行のプレミアムサービスは過渡期を迎えているようです。

地方銀行は高齢者層がサービスのメインに

地方銀行でも会員制のサービスを設けている銀行がいくつかあります。たとえば、東京都民銀行の「ステータス・ライフ・クラブ」は、給与受取や年金受取の取引があり、一定の取引条件を満たす顧客を対象としています。満65歳以上の方向けの交通事故補償サービスや、健康・医療相談、介護相談など高齢の方に便利なサービスを提供。申し込み制で、個人だけでなく所定の条件を満たした法人も会員になることができます。

福岡銀行の「グランドマイバンク」は満55歳以上で預かり資産が1,000万円以上ある方が対象です。取引内容に応じて三つ星から五つ星までのサービスランクがあり、旅行やレジャー施設、人間ドックなどが優待価格で利用できるなどの特典があります。

まとまったお金を預けることでさまざまなサービスが受けられるメリットがある一方で、実際にはクレジットカードの上級会員向け付帯サービスや、生命保険のサービスと重複している部分も少なからずあります。また、1,000万円はペイオフの上限金額でもあります。預入額は慎重に検討しましょう。(提供: IFAオンライン

※2017年1月現在の情報です。

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