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(写真=PIXTA)

新入社員が初めて会社から支給される給与が、いわゆる初任給です。ただ、新入社員の方は振り込まれた金額を見て驚くかもしれません。実際に口座に振り込まれる額は、会社説明会などで通知された初任給の額よりも少額になっているからです。

これは、会社側が間違っているわけではありません。今回は給与の額面と手取りについてみていきましょう。

大卒・高卒の新入社員の平均給与

厚生労働省が発表した『平成28年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況』の学歴別にみた初任給によると、初任給の平均金額は大学卒業者で約20万円、高校卒業者で約16万円となっています。

全国平均であるため会社によってもちろん差はありますが、この金額自体がそのまま振り込まれるわけではありません。ここでいう20万円はいわゆる額面金額であり、実際に振り込まれるものは手取り金額になります。

額面と手取りとは?

額面と手取りの違いを知るには、まず何が引かれているかを理解することが必要です。給与から天引きされるものを、解説します。

● 所得税
所得税は『給与所得の源泉徴収税額表』にしたがって、1ヵ月あたりの税額が算出されて源泉徴収、つまり給与から天引きされることになります。これは見込み金額であることから、年末調整により払いすぎた所得税は還付されます。

● 住民税
前年度の所得金額によって支払いが計算されます。扶養親族になっていた場合など前年度の所得がない新入社員の場合、1年間は住民税が徴収されません。

● 厚生年金
学生時代に国民年金の保険料を納付していた方も納付を猶予されていた方も、就職すると一般的にその会社の厚生年金に加入することになります。厚生年金は会社と労働者でそれぞれ半分の保険料を負担します。厚生年金の保険料は収入に応じて決まります。新入社員になると親元の扶養から独立し、その会社の健康保険組合に加入します。

● 雇用保険
雇用保険は、失業した場合や退職した場合に備えて加入する保険です。会社が労働者を雇用保険に加入させることは義務となっています。会社によって異なりますが、労働組合費や互助会費などが天引きされます。

給与口座には、額面給与から上記の金額が引かれて口座に振り込まれることになります。そのため、手取り額が額面金額よりも少額となるのです。もっとも、給与明細を詳細にチェックしてみると「給与支給額」や「差し引き支給額」の記載があり、実際は額面の金額が支給されていることがわかります。

額面金額をそのまま収入になると考えて住む家などを決めてしまうと、「こんなはずではなかった」という想定外の状態に陥るので、新入社員の方は注意が必要です。

新入社員のボーナスは?

会社員にとって、給与以外にうれしい収入といえばボーナスです。会社の規定により支給日が異なりますが、多くの企業の場合、夏のボーナスが6月下旬から7月初旬、冬のボーナスが12月初旬に支給されます。しかし、このボーナスも新入社員の支給額はそう多くありません。これも社内規定によって異なりますが、ボーナスには「算定期間」があり、算定期間に在職している日数に応じて金額が変わります。もちろん、社内の等級によっても金額は異なってきます。

夏のボーナスは前年11月から4月まで、冬のボーナスは5月から10月までという区切りで考えてみますと、新入社員は1ヵ月しか在籍していないためボーナスは少額の支給になります。会社により新入社員には特別の配慮で一定額が支給されることもありますが、そう多くは望めないのが現実です。

額面と手取りの違いは、税金や保険料などが徴収されることによります。ボーナスが満額支給されるのは、実質的には2年目からとなります。2年目からは資金計画が立てやすくなるでしょう。(提供: フクリ!

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