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(写真=Billion Photos/Shutterstock.com)

中小企業の経営にはさまざまなリスクが存在するため、適切な安全管理によってリスクをコントロールするという観点が重要です。そのためには、具体的に企業経営にはどのようなリスクがあり、どのようにすれば効果的なリスクマネジメントができるのかを押さえておく必要があります。今回は、中小企業が安全管理で気をつけるべき3つのポイントについて、解説します。

日々の業務における安全管理

中小企業が安全管理を考える際、まずは日々の業務における適切な安全管理がなされているかを確認することが大切です。たとえば、工場やオフィスにおいて火災などの事故が起こらないように注意したり、労災事故などが発生しないように適切に労働環境を整えたりすることです。企業が日常の業務において職場の安全を向上させるためには、組織的な仕組みを整えることと、一人一人の従業員にしっかりとした安全意識を持たせることの2つが必要です。

まずは、トップに立つ人間がしっかりとリーダーシップを取るとともに、管理体制や責任体系を明確化して、正常に機能するように組織作りをします。そして、従業員一人一人をしっかりと教育して安全意識を高め、マニュアルなどを作成し人為的なミスを予防する必要があります。安全管理について研修制度を設けたり、模範的な社員に対する表彰制度を用意したりすると効果的でしょう。

マイナンバー制度に伴う安全管理

中小企業の安全管理としては、マイナンバーにかかるものも重要です。マイナンバーとは、国民の1人1人に割り当てられた、12桁の番号です。2015年10月から、住民票を有する全ての人に1人1つのマイナンバーが通知されています。

従業員の税金(源泉徴収)や健康保険などの社会システムの関係上、企業は従業員のマイナンバーを管理しなければなりません。しかし、マイナンバーは大切な個人情報なので、不適切な収集や管理を行うと、企業の責任問題になりかねません。適切な収集・管理をするために、まず収集するときにはしっかり本人確認をして、利用目的を明確にします。そして、預かったマイナンバーは利用目的以外に使用しないことを定め、またマイナンバーの取扱規程を作る必要があります。

社員のマイナンバーを取り扱う者に対してもマイナンバーを適切に管理するよう指導を徹底して、常にマイナンバーの取り扱い状況を把握できるようにすることが重要でしょう。また、利用し終わったマイナンバーは、漏えいしない方法によって速やかに、データとして復元されないような形で確実に処分することも求められます。

IT社会に生きる企業としての安全管理

中小企業がビジネスの機会を最大化する上でIT化への対応はますます重要になっていますが、サイバー犯罪などのリスクを想定して安全管理を徹底することも大切です。

たとえば、警視庁の発表によると、オンライン取り引き(インターネットバンキング)の不正操作による犯罪件数は平成27年に1,495件発生しており、中でも法人口座における被害が増加したと警察庁の発表では指摘されています。これは、近年大企業や官庁などがガードを堅くしたことによって攻撃しにくくなったため、ガードの甘い中小企業を標的にして顧客情報などを収集し、それを足がかりに大企業への攻撃をしかける手口などが増えていることも一因となっているようです。

このような被害に遭わないためにも、企業としてのITリテラシーを高く持ち、セキュリティを徹底することが重要です。まずは重要な社内システムとそうでないシステムに分けて、重要な部分については社外からアクセスが一切できないようにネットワークを分離します。また、重要な情報が管理された情報にはアクセスパスワードを設定して特定の人にしかアクセスできないようにし、ウイルス対策ソフトを確実に導入し、古くなったファイアウォールを最新のものに入れ替えるなどすると良いでしょう。専門のセキュリティソリューションサービスを導入するのもおすすめです。

適切に安全管理をして安心の企業経営を

現代社会では、中小企業が直面する可能性のあるリスクがたくさんあります。特に、最近導入されたマイナンバー制度や、脅威が高まっているサイバー犯罪に対する対応は急務です。ただ、リスクの内容や正しい対処法を知っておけば、むやみに恐れる必要はありません。適切に安全管理を実施して、安心の企業経営を実現しましょう。(提供:ビジネスサポーターズオンライン)

※当記事は2017年1月現在の情報に基づき制作しております。最新の情報は各関連ホームページなどをご参照下さい。