健康診断を受けて少し経つと、受診先から健診結果が送られてきます。身長や体重、中性脂肪値や血糖値などはイメージがわくものの、コレステロール値やアミラーゼ値などとなると、何を表しているのかよく分からないという人も多いのではないでしょうか。
せっかく受けたのに、結果の数値だけを見て一喜一憂するだけでは、健診結果をフルに活用できているとはいえず、非常にもったいないことです。
それぞれの項目の意味を理解し、通風や糖尿病、肝硬変など気になる病気の予兆にいち早く気づけるようにしておきましょう。
いろいろあるコレステロールの種類、どう違う?
「コレステロール値が高すぎるとよくない」という話は、よく耳にします。しかし、コレステロール自体は決して体に悪い物質というわけではありません。
コレステロールは体のさまざまな部分を構成する細胞の膜を作ったり、脂肪の消化にかかわる物質を生成したりと、むしろ健康になくてはならない存在なのです。
問題は量が増えすぎた場合に悪影響があるということです。コレステロールは過多の状態になると、動脈の壁にくっついて動脈硬化の原因になります。体内のコレステロール全体の量をあらわす「総コレステロール値」が220mg/dl以上だと危険です。240mg/dlなら治療が必要な「高コレステロール血症」の状態といえます。
コレステロールには善玉コレステロール(HDL)と悪玉コレステロール(LDL)があり、総コレステロール値が同じでも、後者の比率が高いとそれだけ危険度が高まります。
LDLコレステロールは10mg/dl増加するごとに心筋梗塞の発生率が10~15%も高まるといわれるほど、注意が必要な数値です。前回の健診結果よりも数値が増えていたら、すぐに対策をとるようにしましょう。
通風や糖尿病…気になる病気の予兆はどこに現れる?
通風や糖尿病は、ある程度以上の年齢になると気になる病気の代表格です。健診結果からこれらの病気の予兆に気づくには、どこに着目すればいいのでしょうか。
まず糖尿病について、もっとも分かりやすいのは血糖値です。血糖とは血液の中にあるブドウ糖のことで、これは通常体のエネルギー源として使われます。しかし、糖尿病になるとそのサイクルが壊れ、ブドウ糖が血中に残ったままになってしまいます。
数値としては、空腹時で109mg/dl以上、食後2時間経ったときで140mg/dl以上なら危険です。空腹時で126mg/dl、食後2時間経ったときに200mg/dl以上あると、立派な糖尿病といえます。適切な治療法を知るためにも、すぐに医師の診療を受けたほうがいいでしょう。
一方、通風の予兆が現れるといわれているのが、尿酸の値です。尿酸は古い細胞を分解したときに出る老廃物で、通常は排泄されます。しかし、過多になると血液中で結晶になって関節にくっつき、炎症を起こします。これが通風です。
尿酸値は7.0mg/dl以上の数値になると危険といわれています。尿酸はストレスや疲労の多い生活のほか、プリン体の多い食品をとることでも増えるといわれているので、まずは生活習慣の見直しから始めましょう。
“沈黙の臓器”肝臓の異変に気づくには
肝臓は“沈黙の臓器”の異名を持ち、ダメージを受けていても目立った症状が出にくいことで知られています。また、一度ダメージが進行するとなかなか回復しないのも、肝臓の特徴です。それだけに、症状が深刻になる前に異変に気づき、対策をとることが重要になります。
肝臓は体内で利用するアルブミンなどのたんぱくを合成するはたらきを担っています。そのため肝臓の機能が低下すると、アルブミン値や総たんぱく値が下がってしまうのです。総たんぱく値で6.5mg/dl以下、アルブミン値で3.5mg/dl以下だと危険といわれています。
一方でビリルビンやγ-グロブリンの値は、肝臓の機能が低下するほどに増える傾向にあります。また、肝臓がダメージを受けると細胞が損傷するので、GOTやGPT、γ-GTP、アルカリフォスファターゼや乳酸脱水素酵素など、血中における細胞を構成する酵素の値が増えることもあります。
いくつか注意したい項目を紹介しました。数値の変化をみておき、標準値を大幅に出る場合は健診結果を持って医師に相談しましょう。
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