ドル円予想レンジ 111.80- - 115.40
「為替については、専門家である財務大臣に任せようということを申し上げて、大統領もすぐに了解して頂きました。首脳同士が口角泡を飛ばしてする議論ではないし、それはむしろ悪い影響しかないというふうに私は申し上げて、今後もそういう形でいくということで了解して頂いた」-。
これは日米首脳会談から帰国して僅か2時間後の2/13午後8時過ぎに、テレビで安倍首相が述べた会談内容だ。安倍首相の訪米前にトランプ米大統領から、通商・為替政策についての日本批判があったが、これを抑え込んだ格好となる。
トランプ口撃、封印か
日米首脳会談を以て今後の為替議論の主役は麻生財務相、そして2/13に財務長官に正式に就任したムニューチン氏に移行。今回の会談成果は①日米関係の重要性再認、そして②金融政策、為替問題が実務者レベルでの議論となること、の2点となろうか。
特に②を重要な成果と考えており、今後はトランプ大統領から日銀政策や円水準に関する直接的な言及が無くなる可能性、つまり、過激な“トランプ口撃”は封印されたと読んでいる。
麻生財務相からのヒントか
2/3、麻生財務相が閣議後会見で、円高による状況を是正するために金融緩和をしたと発言。その後、財務省が「デフレ状況を是正する為」と発言内容を訂正したが、本音がこぼれた感は否めない。
ご愛嬌か。但し、2/15の衆院財務金融委で麻生財務相が「(円相場は)まだ120円にいっていない。円安といわれる覚えはない」と述べたことには些か驚愕した。具体的な為替水準に言及するのは異例であり、咀嚼すると麻生財務相は1ドル120円を分水嶺として円高・円安、と判断している可能性となる。3/17-18のG20財務相・中央銀行総裁会議(独バーデン・バーデン)に向けては、国際協調枠組内での反応も含め、留意すべき上値目途の水準となろう。
2/20週ドル円売買ポイント
2/14-15のイエレンFRB議長議会証言「金利の引き上げを待ち過ぎるのは賢明ではない」は、利上げテンポを誤ればリセッション(景気後退)を招く、とした見解だ。過去、慎重な姿勢を見せてきたイエレン議長が3月利上げ敢行、と読むには些か拙速と考える一方で、複数地区連銀総裁による利上げ支持姿勢を不気味に感じている。
上値焦点は2/16高値114.335、115円の節目、1/20、27高値圏115.40。日足一目均衡雲上限115.20-116.00が意識され1/11高値116.88を期待視。下値焦点は2/9深夜の上昇帯112.30-80、113円台の維持。最終拠点は2/6-9安値圏111.57-62-72-81と推考。
武部力也
岡三オンライン証券
投資情報部長兼シニアストラテジスト