この記事は2025年5月20日(火)に「羊飼いのFXブログ」で公開された「小林芳彦氏の現在の相場観とFXトレード戦略」を一部編集し、転載したものです。


FXトレード戦略
(画像=おでんじん/stock.adobe.com)

2025年5月20日(火)の午後12時時点に現役トレーダーの小林芳彦さんから聞いた最新の相場観と戦略を紹介する。

小林芳彦
1979年慶応義塾大学商学部卒、同4月株式会社協和銀行入行。 外国為替研修生・営業店外国為替業務経験後、1987年から本店資金為替部調査役。 インターバンク(フォワード)ディーラー・カスタマーデスクヘッドなどを歴任後、1989年10月よりクレディスイス銀行(資金為替部長)、1997年クレディスイス・ファーストボストン銀行(シニアセールス)、1998年バイエリッシェ・ヒポ・フェラインス銀行(為替資金部長)、2001年バンク・オブ・アメリカ(為替資金部営業部長)で数十社の法人顧客を担当。

現在の為替相場の傾向や相場観

先週は、上値を147.50円辺りで考えていたのだが、12日(月)のうちにレンジが突破されるとてつもないショートカバーが出て、148.65円の高値まで上昇した。この流れでみんなショートが切れたと思う。

そしてその後、全体的にロングに傾き、マーケット内で150円が近いというムードになった。ブルだった人間は押し目買いをし、ベアだった人間は自分が間違っているのではないかと思いつつ、148円台を売れなかったという状況。結局ベア派は助かったがブル派は高値で捕まってしまい、結果的に145円割れまで投げさせられたという展開だ。現在も上値がだいぶ重くなっており、しかも米経済指標の悪い数字が出始めている。

今週は加藤・ベッセント会談が予定されており、為替の話が出ない訳はない。ただ、米国としてはドルの暴落に繋がるようなドル安政策を表に出せないため、緩やかなドル安はウェルカムだが、急落するようなものやトリプル安に繋がるようなものに関しては避けたい訳だ。米国は長期金利の急騰(米債の急落)に対して非常に気を遣っている様子が分かる。

またトランプ米大統領は本音で言えば、米輸出企業に対する米国の輸出促進政策を取りたい。しかし、世界各国には「自国の通貨安は許さない」的な非常に勝手なことを言っている。おそらくベッセント米財務長官も緩やかなドル安はウェルカムだと思うが、加藤財務大臣との話し合いの中でそういう話が出したとしても表には出てこないだろう。よってマールアラーゴ合意はおそらくないと見ている。

現在の為替相場の戦略やスタンス

今週の米ドル/円予想レンジは、143.50~147.30円。

日本の金利は年内にあと1回上がるかどうかで、米利下げは2回が精一杯というところだろう。そうなってくるとよほど米国の景気が悪化しない限りは、今のところ利下げを実施する感じはなく、インフレ懸念もまだ残っている。

思ったよりも円安のピッチは緩やかにはなりそうだが、それでも個人的には年後半にかけて130円台というイメージを持っているので、戦略的にはやはり引きつけてドル売り方向から入りたい。

そして今週は、143円台まで行けば精一杯というところだろう。いきなり140円割れに走る感じではないため、丁寧にこまめな利食いをしていく売り回転で臨みたい。

▽米ドル/円の日足チャート

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(画像=羊飼いのFXブログ)

※当記事は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。