借地借家法は解約問題にも及ぶ

サブリース契約に借地借家法が適用されるので家賃減額の問題だけではなく解約面でもトラブルが発生している。家賃の減額に納得のいかないオーナーがサブリース契約の解約を申し出たとしても借地借家法28条の規定がそれを許さない。家主は正当な事由なしに賃借り人に解約の申し出が行えない。ブリース会社にこのように主張され家賃減額を認めたオーナーも少なくない。

逆にサブリース会社から一方的な契約解除を受けたというケースもある。借地借家法は賃借り人を守るための弱者救済という性質をもつ法律である。期間の定めなや契約内容に沿えばサブリース会社から解約をすることは難なく可能になる。この規定を利用して入居者を全て自社が管理する他のサブリース物件に転居させ、全室を空室にされて契約解除されたオーナーもいる。家賃の減額ですでに融資への返済が難しくなっているところに、全室空っぽで解除されては一気に破産状態に陥ってしまう。

このような背景もあり、判例では借地借家法の適用が妥当ともしながらも家賃の減額については当事者間で事情をきっちりと総合考慮すべきであるとしている。あまりにもかけ離れた減額はもちろん認められない方向との認識である。

今回愛知県で提訴に持ち込まれたケースも2016年の9月から3度に渡る調停で折り合いがつかなかったようだ。このオーナーを含めレオパレス21とサブリース契約を締結しているオーナー達で発足した会では以前からこの問題に弁護士と取り組んできたという。裁判が始まることになれば新しい判例が誕生するのかどうか、その行方に注目していきたい。(片岡美穂、行政書士・元土地家屋調査士)