サブリース,レオパレス21,家賃保証
(画像=Webサイトより)

家賃保証で一括借り上げするサブリース契約につき、その家賃を減額され損害を被ったとして、愛知県のオーナーが名古屋地裁への提訴を検討していると報じられた。サブリースを取り巻く問題については昨年9月に国土交通省から新制度が施行されたばかりだ。

家賃保証のサブリース契約とは

サブリース契約ではオーナーとサブリース会社がその対象物件に対し、丸ごと一括で賃貸借契約を締結する。その後サブリース会社が転貸者となって入居者と転貸借契約を締結するのである。満室であろうがなかろうがサブリース会社が賃借人として家賃を支払うので「家賃保証システム」とも呼ばれている。

サブリース会社は入居者から受け取った家賃からサブリース料を差し引き、残りをオーナーに支払う。オーナーは毎月支払いがされるのを確認するだけでよく実際にはどんな入居者が入っているのかも知らない場合が多いい。本業を持つサラリーマンや賃貸経営に不安な初心者が安心して任せられると思い契約に至るという。

家賃減額の実態

オーナーとサブリース会社が締結する賃貸借契約兼サブリース契約では家賃の見直しについて期間を定めているのが一般的である。例えば新築当初は5年、以降2年おきに近隣相場と物件の状況により変更が可能といった具合だ。

しかしほとんどの場合は「特別な賃貸物件市場の変化が生じた場合はこの限りにあらず」とサブリース会社からの提案でいつでも家賃の減額が提案できるようになっている。しかしそもそも10年や20年の家賃完全保証と謳っていながらこのような減額が法的に許されるのだろうか。

今回のレオパレス21の件でも10年間は家賃が不変と思い契約したのに……とオーナーは説明している。不変の家賃を約束しておきながら市場の変化として減額変更される。何年にもわたり全国エリアで起きている問題である。

国土交通省による新規定の内容とは

このようなサブリース問題については弁護士団から国土交通省側に幾度となく問題提起が行われてきた。その働きもあってか2016年の8月に賃貸住宅管理業者登録者制度の規定と業務処理準則が改正され、9月1日から施行されたばかりである。賃貸住宅管理業者登録をしているサブリース会社は契約時に「家賃減額の可能性」の説明をすることが義務付けられた。しかし業者登録そのものが任意であるため事実上管理の目が届かない状態であることが問題視されている。

サブリース契約の落とし穴

オーナーと賃貸借契約を交わしているのは入居者ではなくサブリース会社である。借地借家法上では借主は家主に家賃の減額請求を行うことができる(借地借家法32条)。特約に家賃の減額請求はしないと定めても無効となってしまうのがこの条文の意味するところである。しかしサブリースという事業的な契約にこの借地借家法が適用されるのか疑問をもつ人もいるだろう。

これについては2003年に最高裁の判例が出ている。サブリース契約も借地借家法の適用を受けるとの判断だ。借地借家法の下で行う契約だということを両者がしっかり同じレベルの認識でスタートすべき契約だと裁判官は意見も添えている。このような背景もあり、賃貸住宅管理業者には契約時の説明を義務付ける方向に至ったのであろう。