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(写真=yavuzunlu/Shutterstock.com)

「平成29年度税制改正大綱」が2016年12月に発表されました。ここに、企業が介護および育児の関連施設をつくりやすくするため、不動産取得税や固定資産税、都市計画税が減額されることになる税制改正が盛り込まれています。

私たちの暮らしに深く関わる介護や子育ての分野で優遇措置が図られるのであれば、意義のある節税として期待も大きくふくらみます。

REIT(不動産投資信託)のおさらい

投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設、マンションといった不動産等を購入して、賃貸収入や売買益を投資家に分配する商品がREIT(Real Estate Investment Trust)です。J-REITとも呼ばれ、投資信託に含まれる商品です。

2016年末現在、REITのうち50本以上が上場していて、用途によって「オフィスビル系」「レジデンシャル系(住居用マンション)」「商業施設系」「物流施設系」「ホテル系」「ヘルスケア系」などに分かれています。

REITの最大のメリットは利回りの高さで、分配金利回りの平均は一般に3.2~3.6%といわれています。また、利益の90%以上を分配すれば法人税が課税されない制度で運用されるので、他の投資商品と比べて高い分配金を得られ、インカムゲインとして優れています。さらに、不動産はインフレになると資産価値や賃料が上がる傾向にあり、そのようになった場合、REITはキャピタルゲインも期待できます。

2017年度税制改正で何が変わったのか?

REITの不動産取得税には特例が導入されていて、オフィスビル、賃貸住宅、ホテル・旅館が軽減の対象になっています。「平成29年度税制改正大綱」では、有料老人ホームやリハビリ施設、病院などの介護、医療の分野におけるヘルスケア施設が対象へ追加されました。

具体的には、ヘルスケア施設を購入するときの不動産取得税は評価額を6割差し引くことになります。例えば評価額が1億円の物件をREITが取得すると、その納税額は評価額の6割を控除した4,000万円に4%の税率をかけた160万円になります。これまでに比べ、240万円も税負担が軽減されるのです。

また、子育て支援の面では、家庭的保育事業(保育ママ)や、居宅訪問型保育事業(ベビーシッター)または利用定員が1~5人の事業所内保育事業、企業が従業員向けとして運営する企業主導型保育所の土地や建物にかかる固定資産税と都市計画税が5割の減額になります。

税制改定での減税がREITの市場拡大につながる

ヘルスケアリートはわずか3銘柄が国内で上場しているのみで、東証REIT指数に占める時価総額ウェートも小さな市場です。REITでの不動産取得にかかる税の軽減が医療および介護施設の不足を解消する起爆剤になる可能性は十分にあります。

医療、介護、保育はアベノミクスで成長戦略として重要と位置づけられている分野です。従来、この分野での不動産取得に関しては軽減措置がとられていなかったため、今回の税制改正でヘルスケア系のREITが盛り上がることは十分に考えられます。REITで民間の資産が投入されれば、一気に市場拡大することもあり得そうです。(提供: IFAオンライン

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