日経平均予想ジ レンジ 19,284 ~ 19,869 円

今週は、週末のメジャーSQ算出や2月米雇用統計などのイベントを控える中、日経平均は上値の重い展開から4日続落となった。その後、週末には115円台を上抜けた円相場を好感して、3/13以来19,600円台を回復し、終値で年初来高値を更新した。

海外の焦点

米国では、イエレンFRB議長講演(3/3)で、米国は実質的に完全雇用状態で、物価上昇率は2%に近づいているとして、追加利上げの条件はほぼ整っているとの見方を示した。また、対応が遅れれば急激な金利引き上げを迫られ、経済や金融に悪影響及ぼすとも指摘した。8日発表のADP雇用統計は、29.8万人増と2014年4月以来の高水準となった。これを受けて、10日発表の2月雇用統計も堅調な結果が見込まれている。市場では、14、15日両日開催のFOMCでの利上げは確実になったとの観測が広がっている。

一方、NYダウは21,169ドル(3/1)の史上最高値を更新した後の足取りは重い。トランプ大統領の大幅減税やインフラ投資、規制緩和などを背景に政策期待先行で上昇してきたものの、閣僚候補の指名辞退が相次ぎ、市場が待ち望む経済政策をなかなか実行に移せないのではないかとの懸念が強く、相場の息切れさえ警戒され始めている。

国内の焦点

国内の景気指標では、1月の鉱工業生産指数は99.8と前月比-0.8%となった。マイナスは6カ月ぶりで、減少に転じたのは輸出の伸びが一服したことが背景と見られる。企業の生産計画に基づいた製造業生産予測指数は2月103.3(+3.5%)と伸びたものの、3月は98.1(-0.5%)とやや下振れした。

例年1月は中国の旧正月要因で上下に振れるので、結果として生産はならすと昨年11月から横ばい傾向に転じている。ドル高・円安の一服やトランプ政権の政策への不透明感が企業の生産計画に影響し始めたと考えられる。今後も生産が横ばいに推移すると日本株の上値圧迫要因になりかねないだけに注視しておきたい。

来週の株式相場

チャート面では、1/18、2/7、2/27安値を結んだ下値切り上げトレンドは維持しており、上値抵抗線の1/4終値高値19,594円を明確に抜けることで、もち合い放れから新たな上昇相場入りの可能性は高まる。

以上、来週はイベント通過で業績好調株の個別物色人気が強まる中、もち合い放れを確認する局面と見ている。日経平均のレンジは、上値は一昨年12/18高値19,869円が目処となり、下値は25日線の19,284円付近が意識されよう。

株式見通し3-10

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト