フィッシャーの正確確率検定におけるp値 分析結果
フィッシャーの正確確率検定におけるp値各集計期間について、前節で示した2 ×2分割表をもういちど見ていきます。当然、図2と同様に3ヶ月と6ヶ月において、「選挙がある年においてドル上昇の割合」が多い事が確認出来ます。
図4:本稿における2 ×2分割表の例
この表を前述のフィッシャーの正確確率検定の公式に当てはめた時のp値の一覧が下図5の通りになります。この結果によっても、選挙前後3ヶ月と6ヶ月における為替レートの変化には有意性があるという事になります。p値の見方は、例えば3ヶ月なら、p値は0.002806で、「標本のばらつきが偶然である確率が0.002806%」という意味です。
図5:フィッシャーの正確確率検定結果
出典:筆者作成
結果の考察
分析結果は、「大統領選挙前後3ヶ月間と大統領選挙前後6ヶ月間は米国の実質実効為替レートが上昇する傾向にある」という事です。これは、大統領選挙の期間前後において米ドルが相対的に強くなりやすい傾向があるという事です。しかし、その効果は1年間で見ると統計学的に見て有意性は有りません。一方で、より短い期間である1ヶ月間において有意性が無いのは何故でしょうか。
ここからは推測になりますが、選挙前は為替レートが上昇する傾向が強く、その後一部下げ戻す部分があり、前後1ヶ月間で見れば有意差が出ていないのではないでしょうか。実際、図2で見たように、1ヶ月間で変化率を見た時、選挙前の1ヶ月は8回上昇していますが、選挙後の1ヶ月は5回しか上昇していません。これは、選挙終了時に一度相場が下げ戻っている可能性があります。そして、それから新政権への期待から、3ヶ月~6ヶ月にかけてゆっくりと相場が上昇している可能性があるのではないでしょうか。