クラウドファンディング事業を展開するCAMPFIREが、新たに仮想通貨取引所システムである「FIREX」(ファイヤーエックス)を開設した。国内最大級の仮想通貨取引所である「Zaif」を運営するテックビューロと提携。既存事業であるクラウドファンディングの決算手段として導入することで、サービスの向上を図る狙いがあるとみられる。
FIREXの仕組みは?
CAMPFIREは、2011年6月にサービスを介したクラウドファンディングサービス。音楽やアート、写真などのカルチャー系に強いサービスとして知られている。これまでに5500件以上のプロジェクトを掲載し、総支援者数は約20万人、流通金額は20億円に達している。
今回新たに開設する仮想通貨取引所システム「FIREX」では、同社が事業展開するクラウドファンディングの決済手段などとして仮想通貨を利用することで、出資者がプロジェクトに支援を行う際の送金手数料や、時間がかかりがちなプロジェクト成立後のプロジェクト実行者への送金スピードの改善などに役立てる狙いがある。
同社がタッグを組むのは、暗号通貨技術と仮想通貨の根幹システムであるブロックチェーン技術にもとづいたソフトウェアとサービスを開発しているテックビューロだ。プライベート・ブロックチェーン「mijin」のほか、国内最大級の仮想通貨取引所である「Zaif」を展開している。
FIREXでは、テックビューロ社のシステムのOEM版としてスタートする。現在は仮想通貨である「Bitcoin」(ビットコイン)と日本円での取引が可能で、今後は独自に展開する「CAMPFIRE COIN(仮称)」も使えるようにするという。
資金調達の民主化狙い
今回の仮想通貨取引所の設置には同社の掲げる目標である「資金調達の民主化」がある。
ブロックチェーンの技術は、研究開発や導入検討は広がっているものの、企業間の連携が技術的な検証に欠かせないことから、実際に導入や実現に至っている例は多くない。
CAMPFIREの家入一真社長はクラウドファンディング事業について「誰しもが声を上げられる場の提供をしてきた」とし、仮想通貨取引所を設置することで「誰しもが支援できる場」の整備を進めていくとしている。今年夏にはインターネット上で、お金を借りたい人と、投資したい人をつなげるソーシャルレンディングサービスの開始も予定しており、第二種金融商品取引業登録及び貸金業の登録を進めると見込みだ。
テックビューロの朝山貴生社長は「2017年はあらゆる価値が仮想通貨化され、ブロックチェーン上で自由流通するトークンエコノミーが花咲く」などとしている。( FinTech online編集部 )