回転寿司チェーン「スシロー」を運営するスシローグローバルホールディングスは30日、東京証券取引所に再上場を果たした。買収回避などを目的に株式の上場を取りやめていたが、店舗網を拡大するための資金調達を目的に再上場。初値は公開価格3600円に対し、5%ほど下回る3430円でスタート。一時は3575円をつけた場面もあったが、初日の終値は3410円と軟調に推移した。
スシロー上場廃止から再上場への流れ
大阪発祥の回転寿司チェーン。前身の「あきんどスシロー」時代の2003年に東証2部に上場していたが、一部の大株主から「はま寿司」を運営するゼンショーに株が渡り、2007年からはゼンショーが筆頭株主となった。
これを受け、スシローは09年4月にゼンショーによる買収を防ぐため、ユニゾン・キャピタル・グループ傘下の投資ファンドと、経営陣による株式の買い上げマネジメント・バイアウト(MBO)を実行。株式の公開買付け(TOB)は成功に終わり、上場廃止、その後は英国の投資ファンド、ペルミラの傘下に入っていた。
回転寿司業界首位の再上場とあって注目されていたが、30日の初値は公開価格3600円に対し、5%ほど下回る3430円でスタート。一時は3575円をつけた場面もあったが、初日の終値は3410円と軟調に推移した。
一夜明けた31日には初値で3485円を付けるなど、前日を上回る立ち上がりを見せたが、その後は3465円から3480円の間で推移。日経平均価格で終値が4営業日ぶりに1万9000円を割り込むなど続落が起こる中、目立った値動きはないまま、3490円での終値となった。時価総額では959億円と競合の「くら寿司」を展開するくら・コーポレーションの962億円を下回る結果となっている。
スシロー株価に見る懸念
こうした値動きに対し市場関係者は「競争が激しい」ためと語る。回転寿司業界はアイディア勝負で斬新なサイドメニューを投入する「くら寿司」や、豊富なゼンショーグループの資金力を生かし、積極的に店舗展開を続ける「はま寿司」などライバルが多い。現在は業界全体が安定的に成長していても、いつかは頭打ちになるのではないかとの懸念がある。
加えて財務体質を不安視する声もある。再上場に先立って公表された有価証券届出書によれば、スシローは「のれん資産」と「無形資産」で自己資産の3倍以上、総資産の7割に及ぶ849億円を計上している。IFRS(国際会計基準)を採用するスシローHDでは、厳しい減損テストが実施されており、将来の十分な収益性が認められない場合は、大きな減損を計上しなければならないためだ。
こうした懸念に対し、スシローは積極的な店舗展開や、作業改善で収益向上を図るとしている。今後は、店舗数の少ない関東や、東北、北海道と言った東日本を中心に30以上展開、くら寿司などに比べて出遅れている海外も視野に入れている。
再上場に伴って発表された同社の決算情報によれば、2016年9月の連結業績は、売り上げ高は1477億円の営業利益75億円。2017年は売り上げ高を1598億円にまで伸ばし、営業利益は89億円にまでのばすことを見込んでいる。(ZUU online編集部)