現在、AI(Artificial Intelligence:人工知能)が次世代の重要な技術として扱われ、いろいろな場面で耳にすることが多くなっています。もしかしたら、特に技術者ではない方は「AIが実用化されるのはまだ先では」と考えている方も多いかも知れません。しかし実際には、既に多くの分野でAIは実用化されています。上手く活用すれば、中小企業の人材不足を補ったり、コストを削減したりできる可能性があるのです。

AI
(写真=Zapp2Photo/Shutterstock.com)

AIとは何か?

そもそも、AIとはどんなものでしょうか。AIの正体はコンピューターのプログラムで、人間の脳の働きを真似たものと言えます。従来のコンピュータープログラムは、人間が定義したタスクを、人間が定義した演算方法に基づいて処理していましたが、AIは自ら問題を発見し、自ら回答を見つけるという点に特徴があります。AIはニューラルネットワークという人間の脳をモデルとした情報処理システムの上で動いており、大量のデータを与えると人間の赤ん坊の脳が行うように、自らデータから学び、判断を下すことができる様になるのです。

ディープラーニングとは何か?

AIとともに最近良く耳にする言葉が、ディープラーニングという言葉です。これはニューラルネットワークが、与えられたデータを元にパターンを見つけ出し、自ら判断ができるようになる過程を指しています。例えば、Googleが2012年に公開したとある実験の結果では、Youtubeからランダムに取り出した画像1,000万枚(そのうち、3%に人間の顔が含まれる)をAIに学習させました。すると、AIは「一般的な人間の顔」のイメージを自ら作成し、与えられた画像が「人間の顔かどうか」を判断できるようになったのです。

この実験で画期的なのは、AIには「顔の画像とはどんなものか」ということを教えていないことです。AIが自ら、一般的な人間の顔のパターンを認識し、画像が人間の顔かどうかを判断し始めたのです。この後、AIは猫の顔も識別できるようになっています。

AIツールにはどのようなものがある?

実は、こうしたAIの技術を活用したツールというのは、既に我々の生活の中で使われ始めています。身近な例で言うと、Googleなどの検索エンジンでは、検索結果のどのリンクを人間がクリックするかにより、検索ワードに対する検索結果をAIが最適化するようになっています。また、Amazonにログインすると「あなたにおすすめの商品」が表示されますが、これもAIが購買履歴や商品閲覧から、消費者が興味を持ちそうな商品を推測し、表示しているのです。また、信託銀行などでは、年収や年齢などのデータを入れると、AIがそれぞれのプロフィールに最適な資産ポートフォリオを提案してくれるツールを提供しています。また、自動翻訳ツールでも、AIの技術を活用していると言われています。。

中小企業はAIツールで人材不足を補える

では、中小企業はAIツールをどのように活用したら良いのでしょうか?例えば、有名なものにクラウド会計ソフトがあります。これらのクラウド会計ソフトは中小企業のバックオフィス業務の負担を軽減する目的で作られていますが、そこにAIの技術を活用しているのです。具体的には、自動仕分け機能による勘定科目の自動提案、自動消し込み機能、不良債権の検知機能、不正データの検知機能などがあげられます。

また、経営分析ソフトのSHARESは、自社の会計データをアップロードする事により、同業種の企業と比較し、助成金の申請や融資に関する提案など、税理士や顧問弁護士のようなアドバイスを行ってくれます。

AIを活用したサービスをチェックし、導入の検討を

特に中小企業のバックオフィスでは、専門の知識が必要でも、なかなか人材をそろえる事が出来ない場合も多いのではないでしょうか。そのような時は、AIを活用した技術を導入し、不足している人材を補う事も一つの解決策となります。今後も、新たなAIツールが続々と出る事が予想されます。経営者はそうした情報をチェックし、自社で使えるサービスを取り込む事をぜひ検討していきたいものです。(提供: ビジネスサポーターズオンライン

※当記事は2017年2月現在の情報に基づき制作しております。最新の情報は各関連ホームページなどをご参照下さい。

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