日経平均予想レンジ 18,300 ~ 19,000 円
今週は、米国株安や110円台前半の円高が嫌気された上、米国がシリアへの巡航ミサイル発射報道や、北朝鮮問題に対しての警戒感も全体相場の重しとしなった。日経平均は1/18安値18,650円を割り込み、年初来安値を更新する場面があった。
海外の焦点
米経済指標では、3月ADP雇用統計は、26.3万人増(予想18.7万人増)と米景気の先行きに楽観的見方がある一方、3月ISM製造業景況指数や非製造業指数の内容は景況感を後退させる結果となった。米国経済情勢は強弱まちまちの状態でトランプ政権に対する不透明感が強まる中、景気刺激策への遅れが警戒されている。NYダウはオバマケア代替案撤回で調整ムードが漂い始めた。
トランプ政権の注目点は、トランプ大統領就任から100日間のハネムーン期間は1/20から4/29までとなる。もし、暫定予算の期限である4/28を迎え、新たな暫定予算が成立せずに現在の暫定予算が失効することになれば、連邦政府機関の一部閉鎖リスクが浮上してくる。
トランプ大統領は9/30までに新たな暫定予算に国防費の増額やメキシコ国境の壁建設費を計上したいとしているが、オバマケア同様、与党共和党の意見集約ができず見送りになる可能性も否定できない。となると、季節要因となるセルインメイが待ち構える中で、トランプ政権の政策運営能力に対する懸念から調整リスクの高まりへの警戒は怠れない。
国内の焦点
4/3発表の日銀短観では、企業の景況感を示す業況判断DIは大企業製造業が+12(予測+14)となり、2四半期連続で改善した。3カ月後の見直しは+11となった。先行きに対してそれ程改善が見込めないのは、トランプ政権の政策運営に慎重姿勢が強いと思われる。
市場では、2017年度の想定為替レートは108.43円だが、「円安の持続力に懐疑的」との見方があって2018年3月期の業績予想見通しは慎重な数字が出てくる可能性は大きいと考えられる。
来週の株式相場
テクニカル面では、25日、75日線とのデッドクロス形成で、下方リスクの高まりが懸念されている。しかし、4/6の安値水準では25日騰落レシオ78.41%、PER15.19倍、空売り比率45.2%など、いずれも底入れ感を示すシグナルが点灯している。さらに、デッドクロス形成時には当面の底値を形成しやすい経験則もあり、注視しておきたい。
以上、来週は外部環境の落ち着きを見据え、押し目狙いのタイミングを探る局面と見ている。日経平均のレンジは、上値は心理的節目の19,000円を目処として、下値は昨年11月後半にもみ合った18,300円付近が意識される。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券
チーフストラテジスト