日本に一時帰国していた長嶺安政駐韓日本大使と森本康敬釜山総領事が4月4日、帰任した。5月9日の大統領選挙を前に、次期政権に備えた情報収集と慰安婦合意の順守を働きかけるためという。長嶺大使の一時帰国の要因となった慰安婦像問題の進展がないなかでの帰任を韓国のマスコミはどう報じたのだろうか。

大統領選を前に帰国

日韓関係,慰安婦像問題
(写真=Boris15/Shutterstock.com)

朝鮮日報は社説で、釜山の慰安婦像設置は民間団体が行ったもので韓国政府による解決は難しい。日本政府は大使の一時帰国という方法で韓国政府に圧力を加え、安倍政権の指示率があがったが、北朝鮮のミサイル発射で安全保障協力の必要性が高まった上、朴槿恵前大統領の罷免で大統領選挙が早まり両国関係の先行きが不透明になったと述べている。

日本と韓国は断絶に近い状態だったが日本だけの責任ではないとして「親日対反日」という単純なアプローチを批判。国家間の合意である日韓慰安婦合意の破棄または再交渉という大統領候補者たちの主張を問題視している。

中央日報は、長嶺駐韓大使の長期不在は両国政府と国民感情が作用したとみる。韓国の大統領弾劾で国政が適切に“作動”せず、日本は大使の帰任時期を決めることができなかったが、韓国の新政権発足前に、情報収集や有力な大統領候補者との接触など、大使不在は好ましくないと判断したのだろうという専門家の分析を紹介する。

ハンギョレも、日本政府は釜山の慰安婦像に抗議し大使を帰国させた結果、安倍政権の支持率があがり政治的効果を得た。韓国が大統領選挙局面に入り、北朝鮮の相次ぐミサイル発射で対北朝鮮情報対策の必要性が高まったことと反日感情が高まって日韓慰安婦合意が失敗に終わる可能性を危惧し、大使の帰任を決めたとみる。

大使帰任に戸惑う韓国政府