個人が賃貸住宅を探す際は、インターネットや不動産会社などを気軽に利用することができます。しかし、法人が探す場合はどうすればいいのでしょうか。

福利厚生などの理由から、従業員のために借り上げ社宅を用意する会社もあります。この借り上げ社宅には、従業員だけでなく会社にもメリットがあるのです。借り上げ社宅を利用した節税の裏技について紹介します。

住宅手当とはどういうものか

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(写真=lOvE lOvE/Shutterstock.com)

住宅手当は、会社から従業員に支給される福利厚生の一つです。住居費は毎月多額の費用がかかり、固定費の中でも最も大きい支出といわれており、住宅手当の支給は従業員にとってうれしい制度でしょう。

住宅手当が法定外福利厚生費であることから支給基準や支給方法、支給内容などの詳細は、法的には定められていません。そのため、住宅手当を実際に従業員にどのように支給するかなどの詳細については、会社側の財政状況を踏まえて自由に定めることができます。

気になる裏技とは?

住宅手当は賢く利用することにより、節税につながります。

1. 家賃は会社が支払う
従業員に住居手当を支給する場合、例えば月に3万円の金額を支給するのではなく、会社が賃貸物件の賃貸借契約の当事者となり、家賃を全額会社側で支払います。この形態は、いわゆる借り上げ社宅になります。借り上げ社宅の場合は、会社が賃借人となります。

2. 従業員から家賃の半分を徴収
次に借り上げ社宅に住んでいる従業員に対して、会社が支払った通常の賃料の半分相当額を徴収します。これによって、福利厚生費として経費計上することが可能となるのです。この賃貸料相当額は、会社が契約している賃貸料とは異なります。以下の3つの合計額が賃貸料相当額とされ、この金額の半分を従業員から徴収する必要があります。

・ (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
・ 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))
・ (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%
(国税庁より)

なお、会社が賃貸料相当額の半分以上を従業員から徴収することで、従業員についても家賃分が給与所得に該当しなくなります。交通費などと同様に非課税所得になります。

会社は経費が増えて節税につながる

例えば、従業員の給料が年額200万円の場合、借り上げ社宅として非課税ならば、年収は200万円となり、この金額に対して所得税や住民税が算定されます。しかし、借り上げ社宅の賃貸料として上記の金額を満たしていない場合、差額については通常の給与所得として課税対象となります。

例えば月額の賃貸料が10万円で賃貸料相当額の半分が5万円とします。会社が従業員から賃料を4万円しか受け取っていない場合、差額である6万円、年ベースにすると72万円が給与所得となり、従業員の給与所得は年収に換算すると合計で272万円となります。所得税の税率が仮に5%と低い場合でも、3万6,000円の所得税を余分に支払わなければならなくなります。

会社側も賃料相当額の半分が経費として認められれば、その分、法人税の算定金額から控除されるため節税につながります。借り上げ社宅などの福利厚生施策として認められることにより、会社側は法人税の面から、従業員は所得税や住民税などの面から節税できるでしょう。

会社も従業員もお得に活用!

会社側が借り上げ社宅の手続きや賃貸料の支払いを行い、従業員から賃料相当額の半分の徴収をするなどの手続きが必要となりますが、従業員も会社も節税効果が期待できます。

住宅手当を賢く活用することにより両者にメリットが出るため、社宅制度について検討してみてはいかがでしょうか。 (提供: フクリ!

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