会社は正社員など従業員に対し、福利厚生を行っています。福利厚生の内容は、正社員やアルバイト社員、家族などが対象となりますが、雇用形態の違いによって充実度が異なる場合もあります。

福利厚生で代表的なものに住宅手当がありますが、これは正社員には支給しなければならないものなのでしょうか。住宅手当の意味について解説していきます。

住宅手当は労基法上支給の義務はない

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(写真=Lana U/Shutterstock.com)

住宅手当は、労働条件の最低基準を定めた労働基準法上、支給しなければならないという義務はありません。なぜなら、住宅手当は福利厚生として会社から従業員に支給される性質を持つものであり、採用時に説明しなければならないと定められている労働条件に当たらないからです。

ちなみに労働条件とは、賃金や就業場所、就業時間などの労働に関する条件を指し、労働条件として明示すべき事項は労働基準法施行規則第5条第1項に挙げられています。これによると上記以外には労働契約期間、休日、休職に関する事項、退職や退職手当に関連する事項などが労働条件になります。

正社員でも支給されないケースもある

住宅手当は労働条件ではなく福利厚生の一環であることから、正社員でも支給されないことがあります。福利厚生の内容は個々の会社によって自由に定めることができるため、住宅手当という制度自体がない会社もあります。福利厚生として住宅手当を支給する制度を設けている場合でも、支給基準は会社が定めます。つまり、正社員でも支給基準を満たしていないケースもありということです。

例えば、住宅手当の支給基準に「賃貸に住んでいる正社員を対象」としている場合は「持ち家に住んでいる正社員」は支給対象になりません。そして、社内結婚をして夫婦双方が正社員で仕事を続けている場合、世帯主に支給するという基準を定めている会社もあり、この場合は世帯主でない方の正社員は支給対象になりません。

同じ正社員であるにも関わらず、支給される人とされない人が出てくるような事態になったとしても違法にはなりません。これは、福利厚生の内容は会社が決めることができるためです。しかし、このような事態が生じると不平等だと考え、会社に不満を持つ正社員が出てくる可能性もあるでしょう。

支給基準を定めるときには、なるべく社員間で不平等状態が生じないように留意する必要があります。もっとも、福利厚生の内容は変更することも可能です。あまりに不平等な状態が生じている場合は規定自体を見直すことも必要になってきます。

住宅手当は、従業員が支払っている家賃などを会社が一部補助するものであり、一定金額が毎月必要になります。人件費が高騰するため、会社の財政状態の悪化などにより、近年では住宅手当を廃止する動きもあるようです。

住宅手当は会社の福利厚生の規約による

住宅手当は、会社の福利厚生として支給されるものです。そのため、社内規定を設けている場合は、住宅手当なども福利厚生の規約として定めていることがあります。

就業規則の中でも福利厚生支給規定など名称は会社によってさまざまですが、1人当たりに対する支給額が大きくなるため、住宅手当に関しては、支給基準など明確に定めておく必要があります。これにより、個々の社員が感じる不平等さや不満を抑えることにつながります。

住宅手当の基準を社内規定に定め、正社員なら誰でも閲覧ができるようにしておけば、自分が支給基準を満たしているかどうか確認しやすくなるでしょう。

正社員だから住宅手当が支給されるわけではない

正社員だからといって、住宅手当が必ず支給されるわけではありません。支給基準や支給額は福利厚生の一環になるため、会社で決めることが可能です。

従業員に重要な住宅手当が本当に適切な基準や対象となっているのか、見直しや検討をしてみてはいかがでしょうか。(提供: フクリ!

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