日経平均予想ジ レンジ 18,175 ~ 18,767 円
今週は、北朝鮮やシリアをめぐる地政学リスクの高まりを背景にリスク回避の動きが広がったほか、為替は108円台と5カ月ぶりの円高進行が嫌気された。日経平均は昨年12/5以来18,285円の安値を付け、年初来安値を更新した。
海外の焦点
注目の3月米雇用統計は9.8万人増(予想18万人増)と昨年5月以来の小幅な伸びとなった。季節的要因で小売業が2カ月連続で減少したことが影響した。しかし、失業率は10年ぶりの低水準となる4.5%に低下、時間当たり賃金は前年同月比2.7%増となった。
インフレ率が上向く中、イエレンFRB議長は経済を過熱させることなく健全な成長を維持するため、緩やかなペースで利上げすることを計画しているとの見解を示した。
市場では、ハト派寄りの発言と受け止められ、シリア、北朝鮮をめぐるリスクの思惑も踏まえて米長期金利は低下、トランプ大統領のドル高牽制発言も加わり、ドル安、円高要因として懸念されている。
国内の焦点
東京市場では、地政学リスクによる危機感が増幅している。北朝鮮では最高人民会議が開催され、15日の故金日成主席生誕105周年、25日朝鮮人民軍創建85周年と記念日が続く。このため、挑発的な軍事行動の警戒感が一層強まりやすい。
これまで北朝鮮の核実験やミサイル発射に対して市場は静観していたが、米軍がシリア攻撃を行った直後だけに、リスク回避姿勢が強まり、金融市場が混乱することへの危機感は怠れない。
もっとも12日中国習近平国家主席は、トランプ大統領と電話会談し、朝鮮半島の緊張について平和的手段をもって解決されるべきとの認識を示しており、対話によることで有事には至らず、北朝鮮のイベント通過後は地政学リスクの過度な警戒は一旦峠を越すことが求められる。
来週の株式相場
テクニカル面では、昨年12月からのもち合いを下放れたこともあり、下降トレンドへの警戒感が台頭している。ただ、トランプラリーがスタートした11/9安値16,111円から3/2高値19,668円のフィボナッチ比率(38.2%押し)の18,310円に達したことで、一定の値幅調整は一巡したと見られる。
以上、来週は過度なリスク回避ムードの後退から調整場面脱却を探る局面と捉えている。注目材料は、18日開催予定の日米経済対話で、2国間貿易交渉、為替問題でトランプ政権がどこまで日本に踏み込んでくるか注視される。日経平均のレンジは上値は4/11終値18,767円が目処、下値は昨年11/22窓埋め18,175円が意識される。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券
チーフストラテジスト