賃貸住宅やオフィスなどの広告で、フリーレントという言葉を目にしたことがあるだろうか。収益物件の所有者(オーナー)にとっても、居住用の賃貸物件を探している人にとっても、それぞれメリットとデメリットがある。

フリーレントとは

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(写真=Kzenon/Shutterstock.com)

フリーレントとは、賃貸借契約において賃料が無料となることを指す。主に収益物件のオーナーが入居を促進するために設定する。1〜2ヶ月程度のフリーレントが一般的だ。例えば1カ月分のフリーレントが付いている物件に5月1日付けで契約した場合、5月分の賃料は発生しない。フリーレントは、物件の訴求ポイントになる。

フリーレントが設定されている場合、一定期間内の解約に対して違約金を定めることが多い。例えば、「1年以内に退去したらフリーレント期間の賃料相当額を支払う」といった具合だ。

貸主からみたフリーレントのメリット・デメリット

貸主からみたメリットは、集客がしやすいということだ。賃貸住宅の初期費用は、礼金1カ月・敷金1カ月、当月賃料、仲介手数料に加え、その他の諸経費数万円など、賃料の4〜5ヶ月分が必要なケースが多い。仮に賃料10万円の物件なら、40万円超必要となる。初期費用が少なくて済むということになれば、入居希望者にとってのハードルは大きく下がるといえる。賃料を下げるわけではないため、資産価値の安定にもつながる。また賃料を下げるとすでに入居している借主から苦情が出る場合も想定されるが、フリーレントならば賃料は変わらないためそういったリスクを回避することもできる。

デメリットとしては、フリーレントを多用するとキャッシュフローを悪化させてしまうことだ。フリーレントの有無に関わらず、すぐに入居者が入るような人気物件にフリーレントをつけてしまうと、利回りを下げることになってしまう。1年のうち1カ月でも賃料が入らない期間があると、年間利回りに与える影響は大きい。

先行投資は最終的に回収したい。フリーレント1カ月分を採用すれば、フリーレントなしのときに比べて賃料1カ月分の機会損失が発生する。だが、もし入居者が決まらずに空室のまま2カ月が経過すれば、その機会損失は賃料2カ月分だ。賃料1カ月分を惜しんで、それ以上の空室期間を作ってしまったら元も子もない。フリーレントはどう使うかが大切だ。

借主からみたフリーレントのメリット・デメリット

借主からみたメリットは先に述べたとおり、賃料および初期費用の負担が減ることだ。フリーレントがある物件であれば、引っ越し前の物件の賃料支払いと二重支払いとなる心配もない。

ただしデメリットとして、賃料が割高に設定されているおそれがあることに注意したい。収益物件のオーナーはフリーレントで先行投資した分を回収するため、月額賃料が周辺の相場と比べ、不自然に高くないか確認しよう。また、フリーレント違約金がある場合もある。契約書をみて、高額な違約金が設定されていないかよく確認する必要がある。自分は短期間で引っ越しをするつもりがなくても、家族や勤め先の都合でやむを得なく引き払うことになる可能性はゼロではない。

目先のお得感だけで判断するのではなく、「2年契約をすると総額でいくら支払うことになるのか」「途中で解約することになった場合にはどんな費用が発生するのか」など総合的な視点でいくつかの物件と比較しながら選びたい。(提供: みんなの投資online

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