不動産会社の広告で「〇〇年間一括借り上げ」「賃料収入を保証」などと謳われているものをみたことがあるだろうか。おそらくそれはサブリースの売り込みだ。相続税対策のアパート経営が増えるに伴い、存在感を強めるサブリースのメリットとデメリットを解説する。

サブリースとは

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(写真=Avatar_023/Shutterstock.com)

サブリースは、集合住宅を管理する形態の一種だ。収益物件のオーナーはマンションやアパートなどの集合住宅をサブリース会社に一定金額で貸し付け、サブリース会社は借り上げた住宅を入居者に転貸(又貸し)して、賃料収入を得る。収益物件のオーナーは空室の有無にかかわらず、サブリース会社への手数料を差し引いた収入を毎月得ることができる仕組みとなっている。

本来は、収益物件のオーナーとサブリース会社との賃貸借契約をマスターリースまたは一括借り上げといい、サブリース会社と入居者との賃貸借(転貸)契約をサブリースという。だが実際には、物件が転貸され収益物件のオーナーが一定の賃料を得るこのシステム自体をサブリースまたは一括借り上げと呼ぶのが一般的になっている。

サブリース会社からみたサブリースのメリット、デメリット

サブリース会社としてのメリットは、マスターリース時の賃料より、サブリース時の賃料が高くなればなるほど管理委託契約よりも高い手数料を受け取ることができる点だ。収益物件のオーナーの立場に近いため、募集や管理の方法に大きな裁量が認められる点もメリットといえる。

デメリットとしては、空室リスク等が挙げられる。入居者が賃料を滞納したとしても、空室だったとしても、収益物件のオーナーに賃料を支払う必要がある。サブリース会社としてリーシング(賃借人募集)の腕前が問われる契約だ。

収益物件のオーナーからみたサブリースのメリット、デメリット

収益物件のオーナーからみたメリットの1つは、契約期間中は安定した収益が得られることだ。たとえ空室率が高くなったとしても、サブリース契約時に定められた賃料を受け取ることができる。

もう1つのメリットは、収益物件を、自己管理することに比べると、管理に手間かからないことだ。入金管理から入居者対応、契約手続きまで、サブリース会社が行ってくれる。

収益物件のオーナーにとってこの2つのメリットは非常に大きいが、デメリットにも注意が必要だ。デメリットの1つ目は、自主管理や一般的な不動産管理の委託の場合に比べて、満室時の収益が低くなりやすいことだ。たとえ入居希望者が殺到して常時満室になったとしても、一定額しかサブリース会社から支払われない。

2つ目は、賃料が保証されるのは契約期間だけということだ。契約は当初10年間固定などの長期契約になり、その後数年で更新し、その際に賃料が改定されて下がるというケースが一般的に多い。

3つ目、収益物件全体の保守管理リスクだ。保守管理が適切にされていなければ、契約終了後に余計な修繕費がかかることがある。

収益物件のオーナーにとってサブリース契約のメリットは大きいが、デメリットも無視できない

サブリースは収益物件のオーナーがサブリース会社に物件を貸し、サブリース会社は入居者に転貸する。空室リスクと管理の手間はサブリース会社が負担するため、収益物件のオーナーのメリットは大きい。しかしながら、収益力の低下、賃料減額のリスクなどのデメリットもあるので、仕組みをよく理解して慎重に判断したい。(提供: みんなの投資online

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