日経平均予想レンジ 18,224 ~ 18,831 円
今週は、日米経済対話や米主要企業の決算発表など重要イベントが続いた上、北朝鮮情勢への警戒感がくすぶる中、日経平均は円高基調が嫌気され週初に今年の安値水準18,224円まで売り込まれた。その後週末には、米国株高や円高一服を手掛りに買い戻しが広がり、終値で18,600円台を回復した。
海外の焦点
米国では、1-3月期決算発表が本格化している。市場では、主要企業の純利益は前年同期比11.1%増益を見込んでおり、米国株は好決算発表企業を好感した買いが広がり株価を支えている。また、ムニューシン財務長官は20日、税制改革案を「きわめて近いうちに」提示すると表明。市場で消えかけていた法人減税の早期実現への望みが高まってきた。
これまでトランプ政権の政策実行力への不安が重しとなっていたが、最近のトランプ大統領の発言にブレが目立っているだけに、過激公約から現実路線への方向転換が見込まれる。来週からは米議会が再始動するだけに、米政府に対する思惑も高まりそうだ。
国内の焦点
東京市場を取り巻く投資環境の不透明感はなかなか払拭されない。極右政党や急進左派の台頭で混戦状態と伝えられる仏大統領選の第一回投票が23日に迫る中、英国のメイ首相が6/8に総選挙を実施すると発表。欧州政治の不透明感が一段と強まっている。
また、25日には北朝鮮人民軍創建記念日を控えるほか、企業の決算発表も本格化するため、見極めるべきことが多く、相場の方向感は出にくいといえる。
こうした中、日経平均は昨年11月からのトランプラリーで上昇した調整局面を迎えており、11/9から3/2高値で空けた窓埋めが続いている。先週末に12/7、18,502円の窓を埋めたが、11/22、18,175円を埋める可能性が残っていることには注意を払いたい。
来週の株式相場
来週から企業決算が始まる。日経平均に採用されている225銘柄のEPSは1,200円台前半の見込み。足元の18,500円付近の日経平均との適正水準は、ほぼこの位置にあり、3月日銀短観での2017年度の大企業製造業の想定レートは108円43銭であることから、実勢レートが想定レートを下回ると下方修正リスクが大きくなり、日経平均の下落余地が意識されやすい点には留意しておきたい。
以上、来週は外部環境の改善期待を背景に、業績好調株の個別物色の強まりから自律反発が試される局面と捉えている。日経平均のレンジは、上値は25日線の18,831円が目処となり、下値は4/17安値18,224円が意識される。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券
チーフストラテジスト