ドナルド・トランプ氏のもっとも有名な言葉のひとつに「Think Big」がある。「大きく考えろ」ということだ。「でっかく考えろ」と意訳したほうがイメージ的にぴったりかもしれない。

でっかく考えた結果、トランプ氏はビルだけでなく自分の名前をつけたホテルやゴルフ場等の大きな不動産を所有している。まさに不動産王という資産規模だが、実は不動産投資の世界では数千万円の物件も億単位の物件も、投資するためにやる作業はあまりかわらない。

数千万の物件も数十億の物件も、物件情報やオファーを得て、デューデリジェンスという評価作業を行って、資金調達して、購入するまでの流れは数千万円の物件も億単位の物件もほぼ同じだ。

仮に、事業計画として資産規模を100億円にしたい計画の場合、
1億円の物件を購入していくと、100回の不動産取引を行う必要がある。しかし、100億の物件なら1回の取引だけでそれが可能になる。やることが同じなら、大きい方が良いという考え方は、そういう意味でも効率的だ。

「Think Big」な投資家が取引でトクする理由

不動産投資,トランプ
(写真=PIXTA)

もう一点、大切な事だが、不動産取引は原則同じ物件は存在しない一点モノだということだ。よい物件は当然競合が現れて奪い合いになる。しかし、金額というハードルが上がると、購入できる人が自然淘汰され、競合が少なくなる大きなメリットがある。

場合によっては、Think Bigな投資家にはその投資金額規模から、
水面下で最初に良いオファーがくることもある。多くの人が集まる価格帯から抜け出ることができれば、競合が少ない限られた世界に入って、良い話を得やすくなるということだ。

そして、不動産の取引金額が大きくなれば、関係者全員にとって案件としての重要度も当然大きくなる。関係者の利益も不動産取引金額に比例して大きくなり、関係者全員の目が$$マークになってしまう程の重要案件になるということだ。

たとえば、購入資を融資する銀行はどうだろう? 1億円の案件より数十億、数百億の案件は、その取引を成功させることができるかどうかでその年の業績に影響を及ぼしてしまう案件となってしまうのだ。この取引を成功させたいと関係者全員が考えて協力してくれるのは当然なのだ。

「心理的な金額の壁」という見えないゴーストを払拭する