GWに読んでみていただきたいAIとディープラーニング関連書籍を3冊、ITコンサルタントという立場からご紹介しよう(価格は紙版、税込み)。

ディープラーニングについて学びたいならまずこれから

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(画像=Webサイトより)

『グーグルに学ぶディープラーニング』 (日経ビッグデータ編集、日経BP社、1944円)

AIと言っても含まれる内容は多岐にわたる。AIに関していろいろな言葉が飛び交うが、ディープラーニングについてはよくわからないという方には、まずこの本をお勧めしたい。

ディープラーニングは機械学習やAIとどう違うのか、Googleではどのようにディープラーニングを使用しているのか、また日本国内ではどのように利用されつつあるのか、そしてその活用方法や将来の展望まで、横断的かつ基礎から徹底的に解説してある。

非常に興味深いのは、技術的な難しい話をほとんどすることなく、簡単でわかりやすい解説を加えてあることだ。特に最初の章では、ディープラーニングとは何か?から始まり、その歴史についても言及するなど、読む人にとってのわかりやすさを追及している。

中盤の「グーグル社内ではどのようにディープラーニングを使っているのか」というくだりも面白く、データセンター内の空調などのコントロールにディープラーニングを使い、40%もの消費電力減を実現させていることを紹介しており、これはデータセンターが重要なコアとなっているグーグルにとっては、決して無視できない「成果」だ。

「脳の神経回路がベースになっている」という解説から始まり、ディープラーニングの将来像まで書き切っている内容は、誰が読んでも平易に理解できること請け合いだ。学校の教育用としても有効かもしれない。

地方活性化や地方創生にはAIが欠かせないとも説く

『AI経営で会社は甦る (文春e-book)』 (冨山和彦著、文芸春秋、1620円)

題名の通りAIを経営に積極的に生かすことにより、要らなくなるものと必要となるものを取捨選択し、会社運営をよみがえらせることができるという内容になっている。

面白いのは「ローカル」で一番になる、つまり日本国内の経済活動に特化した形でAIをどのように生かしていくのかという論調であり、そういった意味では前掲のGoogleの本とは対照的な読者層を想定した書き方をしている点である。

日本企業はグローバルの競争にさらされ、労働人口がどんどん減り、従来までの産業構造とそれに付随する考え方では、もはや生き残ることができないという主張を行い、それを打破するためにはAIを生かして、「日本で一番になる」ことを目標にすべきだと説く。

この本で紹介している内容は、グローバルで勝負をする前に、まずは日本の地方活性化や地方創生を含んだパラダイムシフトが必要であり、それを可能にするのがAIであるとまとめている。

AIは大きな企業、グローバル企業だけが活用するものである、という誰もがどこかに持っている概念を打ち破る主張は、読んでいて実に小気味良いものがあり、AIのみならずITをどのように活用して中小企業はビジネスを行うべきかという部分までフィーチャーしているため、ビジネス書としても中小企業の経営者にお勧めしたい。

スクエニのAI技術者が執筆

『人工知能の作り方 —「おもしろい」ゲームAIはいかにして動くのか』
(三宅陽一郎著、技術評論社、2678円)

この本はスクウェア・エニックスのAI技術者によって書かれている。ゲームでは、アルゴリズムによってゲーム内の敵味方の動きが決められており、最近ではAIを用いた動きを取り入れている。これがおかしければゲームとしての難易度がおかしくなり、いわゆる「クソゲー」の烙印(らくいん)を押されてしまう。

この本では、実は現在のゲームのAIの考え方は、まさにゲームが世に出た頃、つまり80年代のものと同じであり、それをベースにして肉付けされている、と説いている。昨今のゲームはCG技術や音楽などのレベルが非常に高いが、それが無かったシンプルな時代のゲームから、実は考え方は変わっていないというのは、ゲームそのもののシナリオで指摘されることと、奇妙なことに同じだとしている。

キャラクターに個性を与えたり、技術が上がったりすることによる「不気味の谷」(あまりに人間っぽいキャラクターに不気味さを覚えること)を超えるにはどのようにすればいいか、という現代のゲーム作りの例も多数紹介されており、難しいとされるAIに関してゲームという身近な技術で解説し、読者の理解を広げようと試みている丁寧な本である。

ここに挙げた3冊は、それぞれ違う分野でAIやディープラーニングが実際に使われる手法を、実例を挙げて比較的わかりやすく解説している。またそれぞれKindleなどで読むことも可能である。Kindleは、それこそAIを用いた購入履歴の解析から「おすすめの本」を表示する機能を持っているが、ついつい買いすぎてしまい、電子書籍でも「積読」にならないようご用心を。(信濃兼好、メガリスITアライアンス ITコンサルタント)

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