新年度、新しい環境となった人も多いだろう。仕事の場面で新入社員が持ちやすい悩みに「5月病」がある。新しい環境にうまく適応できないストレスを可能な限り軽減するために、企業側として注意すべきポイントを考えてみたい。

「キャラクター捕獲ゲーム型」‐今年の新入社員の傾向を見る

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(写真=Antonio Guillem/Shutterstock.com)

新年度は、多くの新入社員にとって初めての仕事や慣れない職場で奮闘する日々だろう。それが一段落したゴールデンウィーク明けの時期は「5月病」になりやすく、要注意な季節でもある。

「5月病」とは、5月頃に感じる無気力や疲労感、不眠などの症状のことだ。ここをフォローしていくことは、新入社員の育成のためには避けては通れないだろう。

まず、この世代をフォローするにあたっては、人材の傾向を理解しておく必要がある。公益財団法人日本生産性本部が毎年行っている「新入社員の意識調査」によると、2017年度の新入社員のタイプは「キャラクター捕獲ゲーム型」であるとしている。

この世代は「比較的、キャラクター(就職先)は数多くあり、相対的に内定を獲得するのは容易であった一方で、レアキャラ(優良企業)の内定獲得には、それなりに苦労をしている」、「他に先んじていち早くネットやSNS で情報を収集し、スマホなどのツールを活用した」ことが読み取れる。

また「当初は熱中して物事に取り組むが、飽きやすい傾向があり、それが早期離職という形につながる」点が危惧されている世代でもある。彼らのやる気を維持するためにも、新しいやりがいや目標を常に設定し、モチベーションを維持できる環境を作っていく必要があるといえる。

「効率的に仕事はそれなりに」が特徴的な世代

2017年の新入社員の就職活動は前年から引き続き、企業側の採用意欲も堅調だ。厚生労働省・文部科学省の「平成28年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査」によると、大学(学部)の就職内定率は2017年2月1日時点で90.6%と昨年より2.8ポイント増加しており、これはリーマンショック前の水準を上回り、2000年以降で最も高い数値だった。

このような売り手市場であることが新入社員の意識に及ぼす影響を、公益財団法人日本生産性本部の「新入社員 秋の意識調査(2016年度)」で見て取ることができる。たとえば「条件のよい会社があればさっさと移るほうが得である」ということに「そう思う」としたのは54.6%で、調査実績以来最高の数値であった。

反面、できる限り効率的に仕事をしたいという割り切った考え方をする傾向もある。「残業が少なく、平日でも自分の時間を持て、趣味などに時間が使える職場が良い」としたのは86.3%であった。

同時に「自分には仕事を通じてかなえたい“夢”がある」と答えた層は37.8%と、1991年の調査開始以来、過去最低を記録した。これらの結果から、この世代は、仕事を通じた自己実現という価値観がそれほど高くないということなのかもしれない。

新入社員の5月病を防ぐには?

新入社員の5月病に対しての対策のポイントは、大きく分けて3つある。

1つめは、溜め込んだストレスを軽減させることだ。そのためには「傾聴する」ことが有効である。新入社員世代には、しっかりと自分と向き合っているということを示すのが重要である。「何か不安なことや心配なことはないか」と日頃から声をかけ、コミュニケーションを取っていくことが必要なのである。

2つめは、対面のコミュニケーションを重視することだ。この世代は飲み会などの催しには、自分の興味がない限り積極的には参加しない傾向がある。今までは飲み会の席などでいろいろと話を聞けていたが、別の機会を設けてしっかりと対面で話をしていく努力が必要不可欠となるだろう。

3つめは、仕事をする先輩の背中をしっかりと見せて伝えていくことだ。この世代は「相手を尊敬できるかどうか」が仕事のモチベーションに影響する傾向があるからだ。その際、新入社員と同世代の先輩社員に、自分が新入社員だった頃の話をしてもらい、悩みを聞いていく手法も有効である。

組織力で5月病予防

新入社員が前向きに仕事に臨めるようにするためは、5月病の予防は1つの大きなポイントになる。彼らの傾向や不安を的確に把握し対応していく力が、組織側には求められている。(提供: 百計オンライン

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