機械受注動向は景気を先読みする上で代表的な先行指標とされている。日本における2017年3月の工作機械受注をみると、国別トップは中国で40.7%。前年同月比伸び率は170.8%で全体の伸び率である39.0%を大幅に上回っている。
中国経済の動向は日本経済の先行きを予想する上で重要な意味を持つ。そうした観点から中国における4月の製造業PMIの数値をみると、伸び悩みが気になる。
4月製造業PMI、前月から△0.6ポイント
国家統計局、中国物流購買聯合会は4月30日、4月の製造業PMIは51.2であったと発表。景気判断の分かれ目となる50については9カ月連続で上回ったものの、3月と比べ0.6ポイント悪化、本土の市場コンセンサスを0.5ポイント下振れした。
まず、新規受注(52.3、▲1.0)、新規輸出受注(50.6、▲0.4)、受注残(45.0、▲1.1)など受注関連指標が低下している。さらに、主要原材料購買価格(51.8、▲7.5)、工場出荷価格(48.7、▲4.5)など、価格関連指標も低下。輸入(50.2、▲0.3)も弱く、総需要が鈍化していることがわかる。それに対して、製品在庫(48.2、+0.9)は改善したが、原材料在庫(48.3、±0)、購買量(51.9、▲1.5)、生産経営活動予想(56.6、▲1.7)、就業人員(49.2、▲0.8)などの指標は弱含みで、生産、経営に対するマインドは悪化している。だから、生産(53.8、▲0.4)も低下している。
そのほか産業別では、設備製造業、ハイテク製造業や農産物、食品、酒飲料などの消費関連製造業は好調をキープしているが、鉄鋼などエネルギー多消費産業が50を下回って悪化している。また、非製造業商務活動指数は54.0で、50を大きく超えているものの、3月と比べれば、1.1ポイント低下している。
17日に発表された2017年1-3月期の実質経済成長率は6.9%で、2016年10-12月期、市場コンセンサスを0.1ポイント上回った。3月の月次統計では鉱工業生産、固定資産投資、小売売上高、輸出の伸び率は前月を上回り、かつ、予想を上振れしている。景気見通しは楽観に傾いていただけに、今回の結果は意外である。
もっとも、要因については予想がつく。共産党の景気に対するマクロコントロールが強まっているからであろう。