生活保護受給者の利用する調剤薬局を1カ所に限定する--。厚生労働省が検討していると毎日新聞が報じた。複数の医療機関に通い、重複した処方箋を受け取る事を防ぎ、生活保護に掛かる費用を抑える狙いがあるというが、インターネットを中心に賛否様々な意見が出ている。
生活保護費の抑制と不正受給による薬の売買の抑制も期待
厚生労働省の調査によると、生活保護にかかる費用は2014年度の実績で3.7兆円となっている。その内、46.9%は医療扶助の費用となっており、年々増加傾向にある生活保護費の抑制には医療費削減が必要となる。
生活保護受給者の医療費は原則無料となっており、中には複数医療機関に受診し、同じ薬の処方箋を受けているケースもあると見られる。同報道によると、向精神薬だけで2015年度に全国で4650人が重複した処方箋を受け取っていたという。
厚生労働省の検討案では、今後生活保護受給者は指定された調剤薬局のみでしか処方薬を受け取れないようになる。調剤薬局を指定する事で、薬の重複投与を未然に防ぐ仕組みである。生活保護受給者が全国最多となる大阪市などで6月にも試行し、来年度以降に全国的な展開を目指す。なお市販薬は対象外となる。
生活保護受給者の中には医療費が無料である事を利用し、投与された薬を自ら服用せず、インターネット等を通じて裏で売買している者もいるとの指摘もある。今回の対策はこうした取引に対する抑制にもつながる。