少子高齢化社会の日本では、介護での人手不足が懸念されています。人口の問題だけでなく、介護は重労働であることも働き手に敬遠される理由のひとつです。そこで期待されているのはロボットの活用です。介護事業におけるロボット活用に向けた国の取り組みや、活用の具体的場面をお伝えします。

政府が考える介護事業のロボット活用

robot
(写真=Tyler Olson/Shutterstock.com)

経済産業省は、2014年に行われた会議「ロボット革命実現会議」によって、「ロボット新戦略」を取りまとめました。

ロボット革命とは、「ロボットによる新たな産業革命」を意味します。人手不足が問題視されている日本において、ロボット技術を活用することで、農業から医療までさまざまな分野での活躍が期待されています。

ロボット革命に力を入れている分野は、ものづくり・サービス、介護・医療、農業、インフラ・災害対応などが挙げられますが、特に力を入れているのは「介護分野」といえます。2014年のロボット革命実現会議に先駆けて2013年8月に国立研究開発法人産業技術総合研究所を中心に「介護ロボットポータルサイト」を立ち上げていることに、その姿勢が表れています。また、同年2013年より「ロボット介護機器開発・導入促進事業」も立ち上げています。補助金の交付などを行い、ニーズの特定、コスト低減、導入支援につなげようと取り組んでいます。

ロボット活用の具体的場面

具体的に、介護ロボットはどのような場面で活躍するのでしょうか。「介護ロボットポータルサイト」には、重点開発分野として次のようなものが挙げられています。

・ 移乗介助機器(装着型)
・ 移乗介助機器(非装着型)
・ 移動支援機器(屋外型)
・ 移動支援機器(屋内型)
・ 排せつ支援機器
・ 入浴支援機器
・ 見守り支援機器(介護施設型)
・ 見守り支援機器(在宅介護型)

例えば移乗介助機器は、要介護者の車いす、ベッド、トイレなどの移動を手伝います。移動支援は、屋外でよく見かける電動カートのようなものが相当します。屋内型は、トイレや家庭でも使えるようにコンパクトに設計された歩行器などです。

このように、いずれの機器も介護が必要な方にとっても、介助者・介護者にとっても、大きな負担軽減につながると考えられるものです。高齢化が進み、介護が必要な方が今後ますます増えていくと考えられる日本において、これらの介護ロボットの発展・普及が重要だということが見えてきます。

国の補助にはどんなものがあるのか

国や自治体では、ロボットの開発や導入に対してさまざまな助成を行ってきました。これまでに行われた助成には、次のようなものがありました。

2015年度の介護ロボット等導入支援特別事業は、介護ロボットを介護施設に導入する費用を助成するというものでした。20万円超のロボットに限られ、1つの事業所につき300万円が上限ですが、補助が全額出ることもあり、大きなものでした。

同2015年、国立研究開発法人日本医療研究開発機構は、介護ロボットを開発するための費用の助成に取り組みました。補助の金額は開発にかかった経費の1/2、中小企業の場合は2/3までというものでした。

介護施設やロボット開発事業者は、国の動向をチェックしよう

介護ロボットの普及と開発は、国が推し進める一大政策となっています。介護施設に取り入れれば、移動や入浴などさまざまな場面で介護者の負担を減らすことができるようになります。国の補助も行われてきた実績があるので、これから導入または開発を検討している企業は、現在募集されている補助制度がないかどうか確認することをおすすめします。(提供:ビジネスサポーターズオンライン)

※当記事は2017年3月現在の情報に基づき制作しております。最新の情報は各関連ホームページなどをご参照下さい。