お金の相談で、
一般人は、金融機関の窓口に行く
小金持ちは、誰にも頼らず自力で行う
大富豪は、紹介で知った一流のプロにお願いする

(本記事は、冨田和成氏の著書『大富豪が実践しているお金の哲学』(クロスメディア・パブリッシング 2016/5/2)の中から一部を抜粋・編集しています)

大富豪はお金の相談を誰にする?

大富豪のお金の哲学,冨田和成
(写真=PIXTA)

アメリカの大富豪には3人の専門家がついているといいます。
具体的には医師、弁護士、そしてファイナンシャルプランナー(以下、FP)。「健康」と「地位」と「資産」を守る鉄壁の布陣です。日本でも同じことが言えますが、唯一事情が異なるのがFPの存在です。

アメリカと日本のFPの違いは、アメリカのそれは基本的に独立した職種であるのに対し、日本のFP資格保持者の大半は銀行、証券会社、保険会社など金融機関の社員であるか、自称フリーであっても、特定の金融機関に紐付いている代理店であるケースが多いということです。

そういったFPが行う提案やアドバイスは、どうしても自社の利益につながることに寄ってしまいがちです。もちろん、金融機関に紐づいているFPの全員が信用ならないわけではありません。本当に優秀なFPは顧客第一で提案をしてくれます。

その結果、顧客から信用され、他の大口顧客も紹介されるようになるのでノル紹介してもらうことが理想だとわかっていても、本当に優秀なFPやプライベートバンカーは大口の顧客を優先するので、500万円や1000万円くらいの資産だと動いてもらえない可能性が高いです。

ということは、資産を増やす最初の段階においては、各金融機関が送り込んでくる「おそらく最優秀層ではない担当者」と付き合うことになります。そこで怪我をしないためには、自主的にファイナンスの知識を磨き、ある程度の理論武装をしないといけない、ということでもあります。決して担当者のいいなりになってはいけません。

金融機関担当者と付き合うコツは、彼らの持っている情報や知恵をうまく引き出すことです。彼らも当然プロですから、使い方次第で貴重な戦力になります。

もちろん、買う気がない顧客に情報を提供しつづけるほど暇ではないので、最低限の手数料を落としながら(少額でも金融商品を買いながら)、関係性を切らないことがポイントです。

それに猜疑心をむき出しにして、極端に否定的になっても相手のやる気がなくなってしまいます。舐められない程度に丁重に接し、かつ他社にも声をかけて比較をしていることをさりげなくアピールしていけば、担当者も真剣に向き合ってくれるでしょう。

『冨田和成氏の著書『大富豪が実践しているお金の哲学』(クロスメディア・パブリッシング 2016/5/2)』画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします
『冨田和成氏の著書『大富豪が実践しているお金の哲学』(クロスメディア・パブリッシング 2016/5/2)』画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

お金持ちは「負け上手」 致命傷は負わない

投資に失敗したとき、
一般人は、金輪際、投資をしないと誓う
小金持ちは、勝つまでやめない
大富豪は、潔く負けを認めて次に進む

新規分野に投資したものの雲行きが怪しくなり、周囲からは早期撤退をアドバイスされるも「必ず挽回できる!」と投資をゴリ押しして再起不能になった人や企業はゴロゴロいます。

攻め方は知っていても、守り方を知らなかった人たちです。
その点、優秀な経営者、実績を残している投資家、そして長年に渡り資産を増やし続けている大富豪は、みな「負け上手」です。小さな負けはいくらしても、決して致命傷となる大きな負け方はしません。

大富豪になるためにも、その資産を守り続けるためにも、正しい負け方を知っていることは不可欠です。正しい負け方を端的に表すものとして、投資の世界に10%ルールと呼ばれるものがあります。

ご存じではない方のために説明すると「何事も10%までの負けであれば、その後の挽回がしやすい」という法則です。例を挙げましょう。退職金を元手に1000万円で投資信託を買ったとします。その商品が10%下落しました。900万円ですね。

そこで投信を売却して、残った900万円を別の投資に回し、それが
11%上昇すれば999万円、10%上昇でも990万になるので、ほぼ元通りです。では20%下落するまで放置したら、どうなるか。

元本は800万円になっていますのでそれが1000万円に戻るには25%上昇しないといけません。20%と25%のギャップにご注目ください。さらに50%下落してしまったら、500万が1000万に戻るには2倍、つまり100%アップしないといけません。

5~10%くらいの利回りの商品がほとんどの投資の世界で、リカバリーに100%要することは、致命傷と言ってもいいレベルです(元本が2倍になるには利率10%の複利運用をしたとしても7年かかります)。

つまり、10%というラインこそ損切りの目安になるわけです。意外と早いですよね。数字遊びと言えば数字遊びですが、失うのは一瞬でも、同じ額取り返すのは大変だということを忘れてはいけません。

冨田和成(とみた・かずまさ)
神奈川県出身。一橋大学在学中にIT分野で起業。2006年大学卒業後、野村證券株式会社に入社。本社の富裕層向けプライベートバンキング業務、ASEAN地域の経営戦略担当等に従事。2013年3月に野村證券を退職。同年4月に株式会社ZUUを設立し代表取締役に就任。