不動産特定共同事業法の改正案が発表された。それによると、出資総額等が一定規模以下の「小規模不動産特定共同事業」を創設されたり、投資家への書面交付等がインターネット上で手続きできるように整備されたりするそうだ。この改正案によって、クラウドファンディング経由で不動産への少額投資がより容易になることが予想される。今回は不動産特定共同事業法の改正案およびクラウドファンディングについてみていこう。
クラウドファンディングとは
クラウドファンディングは、主にインターネットを用いて、資金の出し手と借り手をマッチングさせ、出し手から資金の出資や協力を求めることで資金を集めることだ。出資案件は個人的な趣味に近いものから、新興国の環境整備に出資するような社会貢献性の高いものまで、非常に多種多様である。
出資者は金融機関やベンチャーキャピタルなどと違い、必ずしも経済的利益を見返りとして求めないことが大きな特徴だ。主に購入型、寄付型、投資型(貸付・ファンド・株式を含む)の3種類に分けられ、プラットフォームを提供する企業のビジネスモデルも一様ではない。
そういった中で今、クラウドファンディングを活用した地方創生が期待されている。内閣府地方創生推進室は、自治体と連携しながら地方活性化に貢献する取り組みを支える小口投資を「ふるさと投資」と呼び、その主な手段にクラウドファンディングを想定しているのだ。クラウドファンディング等の手法が確立されたことで、地方部へお金が流れることが実現されるようになった。また、資金の出し手としては、資金調達だけでなく、事業を知ってもらうきっかけになり、新しい顧客の獲得が期待される。
しかし、出し手にとっては、デメリットが挙げられる。貸し手の集めた資金の利用目的は確認できないため、出し手側に元本毀損等のリスクも考えられる。資金の出し手側をしっかりと吟味し、選択していく必要がありそうだ。
市場の広がりに期待
現行の不動産特定共同事業法では、不動産の専門家が複数の投資家に資金を募り、不動産から発生する収益を分配する事業(不動産特定共同事業)を行う場合、国土交通大臣か都道府県知事の許可を得る必要があった。加えて一定の資本金などの要件があった。また、書面交付も電子的方法ですることは出来なかった。
不動産特定共同事業法の改正案をみると、資本金に満たない場合でもそれに代わる要件のもと、事業を行うことができる。さらに、書面の交付もインターネット上でできることになった。これらの改正案は、空き家の再生をはじめとする地方創生、クラウドファンディングへの対応を目的としているのだ。
要件が緩和されたため、地元密着型の不動産業者やベンチャー企業なども空き家再生プロジェクトのような事業を行いやすくなる。上記のような企業だと、資金繰りがひとつのネックとなっていたが、不足しがちな事業資金も、今後はインターネットを用いたクラウドファンディングで補える可能性があるというわけだ。
国土交通省は、今回の法案が可決されることによる効果目標を設定している。「2017年から2022年の間に地方の不動産会社の新規参入800社」「空き家再生のための新たな投資約500億円」の2つだ。
クラウドファンディングに対する期待が高まる
今回の改正案は不動産投資市場の持続的な成長を目指す「不動産投資市場政策懇談会」の中で生まれた。メンバーは大学教授や弁護士、民間企業などとなっており、市場の活性化を目指していく上で必要と判断されたというわけだ。
新規参入者、クラウドファンディング、空き家の活用。不動産特定共同事業法の改正案によって、3つのキーワードが結びつき、不動産投資市場を活性化させることが期待される。(提供: みんなの投資online )
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