韓国のインターネットバンキング利用のうち、スマートフォンを利用したモバイルバンキングが6割に達したと、韓国中央銀行である韓国銀行が5月30日に発表した。
発表によると、2017年1-3月期のインターネットバンキングの1日あたり平均利用件数は9412万件で、2016年10-12月期と比べて5.9%増となったが、このうち、スマートフォンによるモバイルバンキングは前期比7.3%増の1日平均5738万件となり、インターネットバンキング全体の61%を占めた。人口約5000万人の韓国の国民1人あたり平均1日1回以上、スマートフォンでモバイルバンキングを利用している計算になる。
韓国のモバイルバンキング利用は2015年に50%超を超えて以降も増加を続けており、振込などの利用額も1日平均3兆6258億ウォン(約3586億円)でインターネットバンキング全体の8.6%となっている。
韓国では現金を持ち歩かない人が多い
韓国の銀行は顧客の囲い込みに余念がない。銀行口座を開設するとキャッシュカードとデビットカードが一体になったチェックカードの発行とインターネットバンキング、モバイルバンキングの申し込みがセットで行われる。チェックカードは支店によっては申込みから数十分で即日発行される。
ネットバンキングやモバイルバンキングは、ワンストップパスワード(OTP)や保安カードが即時発行され、申請した日から利用できる。窓口では有料となる振込手数料等がインターネットバンキングを利用すると無料になるサービスもある。インターネットバンキングはOTP等と公認認定証の二重のセキュリティで守られている。
消費者取引(BtoC)に加えて、企業間商取引(BtoB)でも前金制や即金の習慣が定着しており、商談が成立するとネットバンキングを利用して振り込みを行うケースが多い。2016年12月の統計によると、窓口取引や現金自動預払機(ATM)などの取引は15.5%にとどまっている。
カードが普及している韓国では現金を持ち歩かない人が多い。小売店や飲食店など1000W以上の支払いはカード払いができるのが原則だが、カードが使えない個人売買などモバイルバンキングによる決済が日常的に行われている。購入者がモバイルバンキングを利用して販売者の口座に振り込み、販売者はモバイルバンキングで入金を確認して商品を渡す。モバイルバンキングによる1件あたりの平均振込額は73万7000ウォンで小口取引に使われていることがわかる。