31万人対250万人。ソウル駅と東京駅の一日の利用者数である。日本と韓国の人口差は約2.4倍で、首都圏人口は出典によって計算式が異なるが、国連統計局の基準では3.7倍となっている。首都の玄関口である東京駅とソウル駅の1日の利用者は8倍以上の差があり、毎日経済新聞は、ソウル駅が一国の首都の玄関口である中央駅の役割を果たしていないとことを如実に示すと伝えている。

東京駅とソウル駅の違い

再開発,ソウル,日韓関係
ソウルロ7017から見たソウル駅。右奥が新駅舎、その左が新駅舎(写真=筆者)

東京駅は交通の拠点であると同時に、ビジネスやショッピングで訪れる人も多いが、ソウル駅は鉄道を利用する以外の目的で訪れることはない。

東京駅周辺は2002年に制定された都市再生特別法によって再生事業が行われた。東京駅周辺はオフィスやホテルやショッピング街など、さまざまな目的で利用できる空間として整備された。多くのビルが東京駅と地下で繋がっている。

ソウル駅は、2004年のKTX開通に合わせて再開発が行われている。2003年に民間資本でソウル駅舎を新たに建てたが、しっかりとした再生プロジェクト等はない。ソウル駅のショッピング街は、大手スーパーのロッテマートとロッテアウトレットのみで余暇を楽しめるところはない。そのロッテマートも月2回、日曜日に休業する。ショッピングを楽しむ市民はソウル駅を避け、地下鉄で1から2駅離れた南大門市場や明洞に向かう。

ソウル駅から南大門市場は徒歩圏内だが、ソウル駅と近隣をつなぐ地下道はホームレスが多く、夜になると人々が避けるエリアになっている。ソウル駅と地下でつながっているオフィスとショッピング、レストランなどが入居する複合施設のソウルスクエアは、週末は閑散として多くの店が休業する。

1925年に竣工した旧駅舎の建物は「文化駅ソウル284」という名称の文化・展示スペースに変わったが、一年の訪問者数は32万人程度にとどまっている。

活性化につながらないソウル駅の再開発事業